年9回実施されるTOEIC公開テスト。英語力を向上させ、なんとかスコアアップをはかりたいが、その学習方法が分からず模索している人も多いのではないでしょうか。今回はTOEICテスト指導者養成トレーナー、受験力UPトレーナーでもあるヒロ前田氏に効果的な攻略法について伺いました。

目的がどこにあるのかを俯瞰(ふかん)して見る

TOEICをスタートする人にとって、最初に考えなければいけないことは?

それぞれの環境によって異なると思いますが、何らかの理由でTOEICを受けることになったとすれば、まず指示した相手が何を考えているかを把握しなければいけません。会社の指示であれば、社長や人事部長の言っていることをよく聞いてみてください。確かに点数について何点取れと言っているけれども、本当に求めている人材は点を取った人でなくて、その力を生かして海外で現場を統括できる人材、ということもあります。

社会人であれば、物事を俯瞰(ふかん)して考えなければいけません。短期的なゴールが特定のスコアだとしても、そこにたどり着くプロセスをどう取るかどういう道を歩むかによって得られる結果は違います。英語を使って仕事をすることをにらんで、TOEICを推奨しているのです。まずは、どうしてTOEICを受けるのかという目的を理解することですね。

―目的を考えつつ点数をアップさせるための方法を教えてください

TOEICは自分が今持っている実力を測る測定テストであり、体力測定と同じたぐいのものです。だから、測定テストを攻略する人なんて本来はいないはず。ただ、点数を取ることをゴールとするのであれば方法はあります。手を付けるべき学習というのは、敵の姿を知りリハーサルを繰り返し、自分の弱点を知る。あとはターゲットにたどり着くためには、どういう状態でなければいけないのかを考えることです。

具体例を出せば、TOEICは、リーディングセクションが75分間与えられて100問あります。何も考えず受験した人は、時間が足りずおそらく80問くらい解ければいい方ですが、作戦を立てて臨んだ人は100問解答でき、当然正答数も増えるのでやらなかった人に比べると高い点数になります。

つまり、勝つためには敵の姿を知ってリハーサルをすることが大切です。敵の姿がそこにあるのに研究しない方が間違っているのです。社会人であれば、最低限やらなきゃいけないと僕は思います。

また、600点を目標とするのであれば、各セクション100問のうち、それぞれを62%以上を取っている状態であればいいわけです。であれば、3割、4割は捨てていいいのだから、自分がエネルギーを集中するのはココだと狙いを定めてその練習ばかりする。点数を取るには、その方法が一番早いですね。

―伸び悩んでしまったときの突破法はありますか?

伸び悩むというのは、本人がやっているつもりになっているだけで実は身になっていないことが多いのです。英語には、成果が出やすい学習スタイルがあるから、自分にあった方法を見つけることが大切です。これはTOEICも同じで、間違ったスタイルの上にどれだけコンテンツを載せても結果は出ません。

伸び悩んでいる人の話を聞くと、成果が出ないやり方をずっと続けている人が多いのです。なぜ続けるかと言うと、前の年は攻略法を学んで点数が上がったから。取れるべき点を取るまで急カーブで点数が伸びたから、きっとこのやり方が正しいと思い込んでしまいます。

だから、根本的な英語力を伸ばすべきなのに同じ思想のもとでコンテンツだけをクルクル変えて勉強した気になってしまう。テキストだけを変えてもダメなんです。

力を付けた人というのは、取り組むことが学習じゃないと分かっています。取り組むというのは、そこに時間を使いましたというだけであり、本当はその中に書かれてある内容をモノにしているかどうかの方が大事です。

僕のところに相談にきたら、既に持っているもの以外は1冊もテキストを買うなと指示を出します。手元にあるものの中で、そこに収録されている内容についてどんな形式であっても正解できるぐらいの気持ちで反復し、繰り返してモノにすることを目指してほしいですね。

また、伸び悩んでいる人がいったん考えなおさなきゃいけないのは、ソフトの部分ではありません。自分の姿勢とか、どのようなアクションに時間を使っているかとか、基本的な構造改革に目を向けた方がいいでしょう。

―効果的な方法を見つけるにはプロに頼った方がいいのですか?

プロに頼る必要は全くないです。いまやインターネットを見れば、大勢の人がTOEICの学習方法について書いています。私が考えるに、ほとんどの方法について、実は自分自身も知っていることが多いのです。つまり、その情報に触れることにより思い出して再度やってみればいいと思います。

例えば、効果的な方法を見つけるには、昨日の自分、今の自分がやらないことをまずやることです。なぜならば、以前に比べて点数が高いのであれば、きることが増えているはずだからです。あのころの自分は避けたけど、今だったら意外と簡単にできたりすることがたくさんあります。そこに新しい発見や出合いがあるのです。

自分がやったらどうなるかは、自分でやってみないと分かりません。僕の例で言うと、英字新聞を毎日読もうとした時期がありました。でもなかなか続かない。

それができないと自分で感じたら、絶対やらない。嫌だと思うことは続かないですからね。では、映画ならどうか。たまたま当時出合った「映画字幕をテレビ画面に出す機械」を買ったおかげで、英語で映画を見ることが楽しくなりました。そうしているうちに、好きな作品をいつも見るようになったのです。

セリフをまねして、結果的に英語を身につけることにつながりました。僕は映画だったけど、他の人にとってはそれがラジオ英会話かもしれないし、音楽かもしれない。少なくとも今までの自分とは違う変化にチャレンジしなければ、新しい結果は出てこないのです。

次に、教材の選定方法についてお話すると、単行本については、著者のプロフィールを見ることです。最低でも20回以上TOEICを受験しているか、またそれが容易に想像できるような内容が書いてあるか判断してください。

中身についても、日本語訳のページを見ます。例えば、政治や経済、犯罪や国際問題などの内容が入っているのはダメですね。なぜなら、TOEICにはそういった内容は出題されないから。著者本人がテスト内容をよく知って書いているかどうかが見極めのポイントです。

先生に頼むにしても、TOEICについて熟知している人がいい。満点にこだわる必要はありませんが、人に対して情熱を伝えることが上手でなければいけません。これは自分自身で会ったり、セミナーを受講したりして決めるといいでしょう。

ちょっと遠出になるかもしれませんが、その1回のおかげで、普段の生活半年分かけて学べないことを一気に学べる可能性があるわけです。

ただ、TOEICに関しては、良い教材がそろっていますから、必ずしも近いところに先生がいなくてもいいかもしれません。

―英語を身につけるためには一番大切なことは?

それは何十年も前から、英語教育業界における先人たちが教えてくれています。基本的なトレーニングは、決まっています。そこにあるものを自分の中に取り込んでいく、インプットをする、アウトプットを絡める。例えば、音読するとか、書いてみるとか、そういう実際に使うアクションを混ぜながら、英語を体の中に取り込んでいくことですね。あとは、やはり量が必要です。

実は「やり方をどういうふうにすればいいのか」と考えている時点で、もうダメなんですよ。例えば、英語を1日、例えば2時間でも3時間でも時間を取って、読む、聞くを繰り返します。それで、目で見たり、耳に入れたりしたものをまねてしゃべるんです。

これが理解できない人はいないですよね。それを1年間で1,000時間くらいは最低やらなきゃならない。でも、僕の経験では9割以上の人はやりながら「あ、きっとこのやり方が間違っている」とか、または「自分はどうやら合わないらしい」とか、「この本だからダメなんじゃないか」とか、必ず自分以外の何かに原因を求めます。で、うわべ部分だけを変えようとする。それはもう根本的に間違っています。

逆に言うと、うまくなったとされる人に話を聞いたら、結局みんなやっていることは同じです。もちろん具体的な行動は違います。共通するのは、外にある英語を自分で目にし、耳にし、そっくりまねをして話している。それをことを地道に続けた人こそが力をつけています。あとは楽しんでやっているかどうかだけですね。

■お話を伺った人

ヒロ前田氏

1972年高知県生まれ。本名:前田広之
1990年に神戸大学経営学部入学。ESSに入り英語学習と英語ディベートに明け暮れる。2001年、ロバート・ヒルキ氏を講師に人気講座 「TOEICテスト730点突破ゼミ」をプロデュース。それをきっかけにTOEICテストの本質についての研究をスタート。2003年5月から講師として全国の企業・大学・大学生協・高校でスコアアップ指導を開始。2007年4月に独立。講師業と執筆業を中心に活動し、eラーニング開発のコンサルティングも行う。2008年12月グランドストリーム株式会社を設立。

●著書
『新TOEICテスト 時短特急』朝日新聞出版
新TOEIC(R)テスト 直前の技術』アルク
日本語からはじめる新TOEIC(R) テスト20日間基礎強化ワークブック』アルク ほか多数

●監修
奪取550点 TOEIC(R)テスト解答テクニック講座」他 アルク

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