今回紹介するアプリは、iPhone/iPod touchで最近流行っているチップチューンを手軽に作り出すことのできる音楽制作アプリ「8Bitone MICRO COMPOSER」だ。

本アプリは、「VOCODER SV-5」、「Rectools」シリーズなどiPhone/iPod touchで数々の音楽制作アプリを開発しているユードーが制作した、80年代の8ビットPCや家庭用ゲーム機のサウンドをシミュレーションしたシンセサイザー&シーケンサーアプリケーション。ファミコンなどに代表される家庭用ゲーム機の創生期にメジャーだった「PSG」や「SSG」といった音源が忠実にシミュレーションされたシンセサイザーを搭載する。これらの音源は、いわゆる「ピコピコサウンド」を再現するのに欠かせないもので、30代以上の世代には懐かしく、10~20代などの若い世代には新鮮なサウンドとして、最近ではクラブミュージックを中心に改めて脚光を浴びている。

本アプリは、ファミコン世代にはどこか懐かしいレトロフューチャーなユーザーインタフェースを備えたシンセサイザー部分と、ピアノロール方式を採用したシーケンサー部分で構成されている。ROMカセットに似た起動画面から「START」ボタンをタップして、編集画面へ

あらかじめデモソングおよびチュートリアルソングの2曲が内蔵されている。まずはご機嫌なピコピコサインを試聴して楽しんでみよう。起動したら、編集画面の左上にある「TCR」をタッチし、トランスコントローラーを表示させてソングのLOAD/SAVEなどを行う

本アプリで、楽曲を制作する際は、基本的な音作りをシンセサイザー部分で行い、シーケンサー部分で曲を組み上げるという手順になっている。まずは、画面左端にある「SYNTHESIZER」タブをタッチして、シンセサイザー画面を表示しよう。8ビット音源には、矩形波、三角波、ノイズ(のこぎり波/サイン波)などの波形が内蔵されており、自由度の高いサウンドメイキングを行うことができる。本アプリは、各種パラメーターの構成や配置は比較的シンプルなので、これからシンセサイザーの仕組みを学びたい初心者にも最適のアプリといえるだろう。

シンセサイザー画面は、ツマミやスイッチ、スライダー、演奏用の鍵盤、ピッチホイールなどで構成されている。ツマミ部分をフリックすれば、エンベロープやモジュレーション高速アルペジエーターなど隠れてたパラメーターが現れる

シンセサイザー画面で設定した値のグループを「ボイス」と呼ぶ。ボイスは1曲につき最大で128個まで保存可能。是非VOICE DATAについてもプリセットを用意して欲しいところ。高速アルペジエーターを活用することで、8ビットゲーム機独特のなんともいえないサウンドも再現できる

出来上がったボイスは、好きな名前をつけてソングと共に保存し音作りが完了したら、いよいよ楽曲としてシーケンス(最大4トラック)していく。DAWソフトウェアなどでもお馴染みのピアノロール画面をタッチして音階を入力。パターンを制作したら、シーケンサー画面でそのパターンをコピー/リピートして曲を構成する。曲の途中でボイスの種類を変更するボイスチェンジ機能も備え、様々な制限を感じさせない凝った曲作りも行える。作成したソングは最大8個まで保存でき、いつでも好きな時に呼び出して編集や演奏を楽しめる。

ピアノロール画面は、縦軸が音階、横軸が時間を表す、音楽ユーザーならお馴染みの入力画面。楽譜が苦手な人も音符を入力する必要がないので、気軽に音楽制作にチャレンジできるはずだ

シーケンサー画面では、ピアノロール画面で作ったパターンをトラックごとに並べてひとつの曲に仕上げていく。楽曲全体のテンポ変更のほか、トランスコントローラーからパターンのコピー/ペースト/削除なども行える

シンセサイザー&シーケンサーとしての基本機能が充実した本アプリだけに、プリセット音色の装備や基本波形の追加、楽曲データの共有システムの提供など、今後のさらなる機能拡張に思わず期待したくなるところだ。

iPhone/iPod touchを、趣味の音楽制作からプロフェッショナルなバックトラック作りまで幅広く活用が可能な最先端のチップチューン作成ツールに変えてくれる本アプリ。懐かしくて新しい8Bitなサウンド・クリエイションを、ぜひ1度皆さんも楽しんでみてはいかがだろうか。

8Bitone MICRO COMPOSER

価格 1,000円
カテゴリ ミュージック
用途 サウンドクリエイション・ツール