クリエイターのモチベーションとイマジネーションを加速させてくれる様々なモバイルツールを紹介していく本コラム。今回は、iPhoneカメラの魅力をさらに引き出してくれるカメラアプリ「ToyCamera」を紹介する。

iPhoneには、最初から「カメラ」アプリが標準で装備されている。ハードウェア的には、日本製の携帯電話と比較し、決してハイスペックと呼べるものでないが、iPhoneならではの味のある描写力がユーザーからは好評だ。

同アプリでは、直感的にシャッターを切るだけでiPhoneのカメラで簡単にトイカメラ風の写真が撮影できる

Takayuki Fukatsu氏が制作したカメラアプリ「ToyCamera」は、iPhoneで撮影した写真を一瞬にして、非常にアーティスティックなトイカメラ風の画像へと変貌させてくれるアプリケーション。LOMOやAGFA、HOLGAなどに代表されるトイカメラは、一般的に実際の被写体とはまるで違う脚色が施された独特の画質(個体でバラつきがあり写実的でないものが多い)が特徴だ。この個性的な絵作りはアマチュアだけなくプロフェッショナルなクリエイターにも支持されている。

同アプリでは、起動すると、まず標準のカメラアプリを起動した時と同様のファインダー(撮影画面)が表示される。被写体を決めたら、画面下部にあるシャッターボタンを押し、画像を撮影する。撮った写真は、すぐにプレビュー画面に表示され、確認することができる。気に入らない場合は、何度でも画面左下部にある再撮影ボタンをタッチして、写真撮影を行うことも可能だ。

同アプリには、ビンテージグリーン、ビンテージワーム、ビンテージイエロー、低彩度、高彩度、セピア(色調)、モノクロ、モノクロ(強調)など全8種類のフィルターモードが搭載されている

お気に入りの写真が撮れたら、撮影後のプレビュー画面で画面右下部にある「使用」ボタンをタッチする。すると数秒間後に、なんともいえないトイカメラ風の雰囲気をもった写真が生成される。写真を加工するといっても、本物のトイカメラ同様、難しい設定や操作は一切必要ない。同アプリには、8種のフィルタモードが装備され、初期設定ではそれがランダムに適用されるようになっており、写真を撮るたびに毎回どのような絵になるかわからない。そのため、トイカメラで撮影した写真同様、特有のバラつきにも似た楽しみを味わうことができる。もちろん、任意の画質にカスタム設定を行うことも可能。撮影画面を一端キャンセルし、画面左下部にある設定ボタンをタッチすることで、詳細なフィルタの種類の選択やランダムの設定、周辺減光、正方形写真、画像サイズの設定などを行うことができる。

設定画面では、フィルタ設定や、画像設定、アップロード有無、サイズ、各種リンクなどが設けられている。なお、初期状態ではセピア(色調)、モノクロ、モノクロ(強調)を除いた、5種類のフィルタがランダムモードで使用されるようになっている

なお、同アプリで撮影した写真は、iPhone内のフォトライブラリに保存されるほか、そのまま写真共有サービス「Photoshare」にもアップロードできる。また、少々残念ではあるが、本アプリのコンセプトから、フォトライブラリの写真に、後からエフェクトをかける機能は装備されていない。

ちなみに、通常のカメラアプリで撮影した写真を、ちょっと気の利いたお洒落な画像を作りたいユーザーには、レトロなポラロイド風の画像を仕立てることができる無料アプリ「Polarize」がお勧めだ。Polarize単体でも写真の撮影・加工を行えるが、ToyCameraで撮った画像と合わせるとさらに多彩なバリエーションが演出できる。Polarizeでは、ローマ字限定だが写真のフレーム部分に任意の文字をも手書き風フォントで書き加えられるようになっているので、写真に小粋な言葉でも添えてみるのも面白いだろう。

ToyCameraで撮影した写真(左)を、さらにPolarizeで一工夫(右)。あっという間にお洒落なカフェの雰囲気を持つポートレートの完成だ。そのほか、サードパーティー製の魚眼レンズや、カメラレンズにセロテープを貼り付けるなどのテクニックも、是非試してみてほしい

同アプリを活用すれば、普段見慣れた街角の風景や何気ない光景も、どこかノスタルジックでアートなものへと一瞬で姿を変える。トイカメラ風の画像は、単純な記録写真などには不向きだが、意外な閃きや素晴らしいデザイン素材を生み出してくれるツールとして役立ってくれるだろう。創作のアイディアに煮詰まった際には、iPhoneにToyCameraをインストールし、自分のクリエイティビティーを刺激する散歩にでも出掛けてみてはいかがだろうか。

ToyCamera

価格 230円
カテゴリ 写真
用途 フォトアイディア・ツール