自動血球計数装置の最新モデルを2024年1月より国内販売

堀場製作所は12月21日、血液の成分を測定する自動血球計数装置の最新モデル「Yumizen H500 シリーズ」の国内販売を2024年1月9日より開始することを発表した。

  • 自動血球計数装置「Yumizen H500 CT」

    堀場製作所の自動血球計数装置「Yumizen H500 CT」 (出所:堀場製作所)

  • 自動血球計数装置「Yumizen H550」

    Yumizen H500 CTの測定方法にラックモードをさらに追加した自動血球計数装置「Yumizen H550」 (出所:堀場製作所)

「Yumizen H500シリーズ」としては、スタットモードに対応した「YH-500CT」と、YH-500CTの機能にラックモードも追加した「YH-550」の2機種を用意。いずれも3種の試薬で白血球5分類測定の詳細な血液成分が検査できる検査装置となっており、従来の5種試薬による操作に熟練した検査員がいなくても、クリニックや中小病院で多く導入されている白血球3分類測定装置と同等の手軽さで簡単に検査を行える操作性を有しているほか、地域医療を支えるそうしたクリニックや中小病院にも導入しやすいコンパクトな設計も意識して開発されたという。

白血球5分類測定の導入障壁を下げたYumizen H500シリーズ

白血球5分類測定は、アレルギー疾患の診療や薬剤投与のモニタリングに役立つとされており、治療方針や投薬処方の判断材料として用いられてきたが、従来は5種の試薬を使わなくてはならず装置操作が煩雑であったほか、試薬管理にかかるコストなどの問題がありクリニックや中小病院での導入は進んでいなかったという。

一方、日本政府としては2025年に施行予定の改正医療法において、かかりつけ医としての地域のクリニックや中小病院の機能強化ならびに地域医療水準の向上を目指した制度整備を行う見通しで、それにより少子高齢化に伴うこれまでの「治す医療」から「治し、支える医療」の実現に向けて、診察から治療の完遂までクリニックや中小病院が担う地域医療そのものの質の向上に向けたサービスの拡充が求められるようになると同社は見込んでおり、そうした社会情勢の変化に伴って白血球5分類測定へのニーズも高まることが予想されるため、同社ではそうしたニーズに応える製品として同シリーズの開発したと説明している。

Yumizen H500シリーズの特徴

同シリーズの主な特徴としては、白血球5分類測定に必要な検体吸引量を軽減し、20μLの微量検体で検査を可能としたことで患者の負担軽減を図ることができるようになっているほか、従来は5種の試薬が必要であったところを3種の試薬で白血球5分類の測定を可能としたこと、ならびにタイマー機能による施設の運用に応じた自動スタートアップ&シャットダウンやクリニック向け電子カルテソフトと連携させた電子カルテとのデータ共有などにも対応できるようになっている点などが挙げられる。

なお堀場製作所では同シリーズを活用することで、使いやすさを追求した機能の充実により医療スタッフの業務軽減へ貢献できると同時に、地域医療の現場において患者がより適切な治療を早期に受けることができる仕組みを構築できるようになることが期待されるとしており、患者の通院や検査にかかる心身への負担軽減につながり、質の高い地域医療サービスを提供することにも貢献できるだろうとしている。