福岡大学と医療系ロボットメーカーのリバーフィールドは、2023年7月3日に触覚を有する手術支援ロボットシステム「Saroa サージカルシステム」を用いた胸部外科領域での2つの症例を福岡大学病院にて実施し、患者が無事に退院したことを発表した。

福岡大学病院で、今回の2例の症例(右上葉肺葉切除および右中葉・上葉亜区域切除術)を執刀した福岡大学病院(呼吸器・乳腺内分泌小児外科)の佐藤寿彦 教授は、「今回の手術は順調に実施され、空気圧制御のロボットによる手術は患者に対して肋骨への圧迫がなく、順調に執刀できた」と語っているほか、今回の成果によって呼吸器科・消化器・泌尿器科・婦人科などでの仕様が可能であることが示されたとの評価を述べている。

国産の医療支援ロボットである「Saroa サージカルシステム」は2023年6月に製造販売承認したばかりで、7月3日に東京医科歯科大学病院にて大腸がんの切除手術に適用されたのが1例目。今回の福岡大での手術が2例目となる。

なお、Saroa サージカルシステムの薬事承認の対象領域は胸部外科(心臓外科を除く)、一般消化器外科、泌尿器科および婦人科の各領域となっている。リバーフィールドは、2014年に東京工業大学(東工大)ならびに東京医科歯科大学発のベンチャー企業として設立されており、創業者兼代表取締役と務めたのは東京医科歯科大学の川嶋健嗣教授(当時。2023年時点では東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授)で、2020年より川嶋教授と長年、研究開発をともに進めてきた東工大の只野耕太郎 准教授(2023年時点では東工大 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 准教授)に代表取締役社長を交代している。

  • Saroa サージカルシステム

    Saroa サージカルシステムは手術を行うためのアームを3本搭載したペイシェントカートと、外科医がコントロールを行うためのサージョンコンソールで構成されている (出所:リバーフィールドWebサイト)