以前の携帯電話を使ったシステムでは、サテライト担当者が店舗の写真を撮り忘れてしまうというミスが少なくなかった。しかしi-Reporterによって、撮影すべき写真が指示される仕組みを作ったことで、写真の撮り忘れがなくなり、報告書のレベルが均一になったと渡邊氏は語る。

「それまでは店舗で点検した結果を事務所に戻って報告していました。i-Reporterを使うことで、事務所に戻らなくてもiPadから報告できるようになりました。また現場での点検の際にも、次に何をどう撮るか、i-Reporterが順番に教えてくれるので、現場で迷うことがなく、撮り忘れの心配がありません。これまでは紙ベースの作業指示書を使っていたのですが、i-Reporterを使うようになり、点検に必要な建築関連の知識さえあれば、どのサテライト担当者でも一定レベルの報告書を作れるようになっています」(渡邊氏)

エンジニアリング部 グループ長の小林保貴氏も、i-Reporterによる報告書の標準化とレベルの向上が導入成果のポイントだとする。

株式会社JM エンジニアリング部 グループ長
小林保貴氏

「サテライト担当者によって報告書の写真の数が違ったり、レベルにばらつきがあったりといった点をお客様から毎年、指摘されていました。i-Reporterを導入したのは今年の点検からですが、報告書の質がより高まるのでは、と期待いただいています」(小林氏)

作業においては、i-Reporterが次に点検する場所を指示するようになっているため、新人のサテライト担当者であっても点検箇所を見落とす心配がなく、報告の漏れを防ぐことができる。また、添付する写真の質が向上したことで、より細かい部分まで報告書で伝えられるようになった。

「特に現場のサテライト担当者にとってi-Reporterが便利なのは、iPadで最終的な成果物をイメージしながら報告書を作れることではないでしょうか。また撮った写真をiPadで拡大して見ることもでき、写真を何度も撮り直すことも可能です。また本社としても、点検業務の作業状況が目に見えて把握できるようになり、お客様に進捗具合を報告しやすくなったというメリットもありました」(小林氏)

1店舗あたり約20%から40%の作業時間短縮を実現

JMはi-Reporterの導入により、それまでサテライト担当者が事務所に戻ってから行っていた集計作業の必要がなくなり、1店舗あたり2~3時間はかかっていた編集・集計作業を大きく削減できた。

「1店舗あたり30分から1時間、約20%から40%の作業時間をi‒Reporterで削減できたと感じています。さいたまサービスセンターでは約80店舗を担当していますので、少なく見積もっても全体で30~40時間は削減できています。編集・集計作業が削減できたぶん、他の業務に時間がまわせるので、工事の費用を算出する作業を今まで以上に入念に行うことができるようになりました。より質の高い成果物の作成に、i-Reporterは貢献してくれています」(渡邊氏)

JMでは『Matabee360』を用いた点検業務を行っている

i-Reporterによる作業時間削減効果は大きい

i-Reporterで報告書を標準化したことで、収集したデータの分析や活用を素早くできるようになったと小林氏はいう。

「例えば、ある店舗で雨漏れが問題となった場合、当然、他の店舗の状態も確認しなければなりません。こうした状況が起きたとき、これまではその時点から屋根や外壁のデータを探し始めたり、場合によっては現場に写真を撮りに行ったりと、集計に時間がかかっていました。i-Reporterで報告書を標準化したことで、必要な集計をすぐに用意することができ、お客様へのレスポンス時間が短縮できました」(小林氏)