国立新美術館は、1980年代初頭に本格的な絵画制作を開始し、同世代の中でももっとも精力的な活動を展開してきた画家の個展「中村一美展」を開催する。開催期間は3月19日~5月19日(4月29日、5月6日を除く火曜と5月7日は休館)、会場は東京都・六本木の国立新美術館。開館時間は10:00~18:00(金曜は20:00まで、4月19日は22:00まで)。入場料は一般1,000円、大学生500円、高校生、18歳未満の方、障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料。

《オレンジ・プレート》1986年 油彩/綿布 240×180cm 国立国際美術館蔵

《存在の鳥 107 (キジ)》2006年 アクリリック/綿布 260.1×190.8cm 東京国立近代美術館蔵

同展は、学生時代の習作から最新作「聖」まで、およそ150点の作品によって中村一美の絵画実践の全貌を紹介するとともに、2010年に構想された斜行グリッドによるウォール・ペインティングを初公開する。中村は、絵画は何のために存するのか。絵画とは何なのかという疑問に答えるために、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、バーネット・ニューマンなど、西欧のモダニズム絵画の到達点とみなされていた戦後アメリカの抽象表現主義絵画の研究から出発し、彼らの芸術を乗り越える新たな絵画・絵画理論を探求してきた。

また、「存在の鳥」シリーズに代表される近年の絵画では、象形文字を思わせるマトリクスに基づきながら、多様な色彩や筆触や描法を駆使することで、抽象とも具象とも分類できない、新しいタイプの絵画の創造に取り組んでいる。さらに、4月26日には中村の講演会が開催される予定になっており、詳細は近日中にWebサイトにて発表される。

なお、中村一美は1956年千葉県生まれの現代美術作家、画家。東京芸術大学大学院修士課程修了(油画専攻)。1980年代初頭に本格的な絵画制作を開始した中村は、同世代の中でも精力的な活動を展開してきた。今日における絵画空間とその意味性についての探究を続けており、その制作点数は、絵画だけで1,200点を超える。