2020年東京五輪の開催も決定し、改めて世界から見た「日本」がクローズアップされている昨今。日本にずっと住んでいるとかえって見えなくなりがちな"日本らしさ"を、外国から移住してきた人たちはどんな場面、どんなモノに対して感じているのでしょうか。
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Q.日本らしさ」がデザインに現れていると感じる日本発の製品/サービスなどについて教えてください。 |
今回は日本に住む20人の外国人に、「"日本らしさ"がデザインに現れていると感じる日本発の製品/サービス」について聞いてみました。
・携帯灰皿(ギリシャ/30代前半/男性)
・吉野家のロゴ(ブラジル/30代後半/男性)
・カップラーメン(チュニジア/40代後半/男性)
このアンケートでは具体的なモノを挙げる人が多かったです。「携帯灰皿」は灰皿自体を持ち歩く習慣も日本的なのかも。吉野家は日本を代表するファーストフード「牛丼」のさきがけですし、カップラーメンは、日清食品の創業者・安藤百福が発明した食べ物で、今も多くの人たちに素早く、温かな麺類を食べられる機会を提供している日本らしい発明品と言えそうです。
・貼るカイロ、冷えピタ、高機能のウォシュレット、食券のあるレストラン(オランダ/30代前半/男性)
・針なしホッチキスしか思い付きません。(フィリピン/40代前半/女性)
貼るカイロや冷えピタ、温水洗浄便座、レストランの食券など、日本ならではの製品/サービスを数多く挙げてくれたオランダの男性。これらのモノ/サービスは日本にいたら「当たり前」になってしまいますが、確かに海外ではあまり見かけませんね。日本ならではの細やかなニーズに応えるモノづくり/サービスが印象強いのかもしれません。
また、フィリピンの女性が日本らしい製品として名前を挙げた針のないステープラーは、コクヨの「ハリナックス」など、留める紙のごく一部をステープラーの針のように変形させて使うアイデア文具。書類を留める針自体をなくしてしまうという発想も日本ならではと言えそうです。
・文庫版の書籍(台湾/40代前半/男性)
・納豆のパッケージ(韓国/30代後半/女性)
・レストランの中の掘りこたつ(イラン/20代前半/女性)
文庫本サイズの本は確かに国外には少なく、日本ならではの文化と言えそう。また、元々はわらに包んで発酵させていた納豆を手軽に食べられるようになったのは、やはりあのパッケージによるところが大きいでしょう。レストラン、おそらく居酒屋などに掘りごたつ式の席があるのも、やはり日本の床に座る文化を反映させたこの国ならではのものです。
・着物(シリア/30代前半/男性)
・版画・浮世絵(アメリカ/30代後半/男性)
・桜が付いているもの(トルコ/20代後半/男性)
・和柄のハンカチや風呂敷などが日本らしさを感じます。(中国/20代後半/女性)
着物や版画、浮世絵など、日本の伝統的な文化に"日本らしさ"を感じるという意見もかなり多かったです。逆に、私たち日本人も、外国の歴史的な文化に"その国らしさ"を感じることが多いように思われます。
・水のペットボトルで、ふたがボトルについたたまま飲むやつ。忙しい日本人にちょうどいいです。あと、高いビルから下げられている細長い広告。あれは、日本の文字が縦書きだからできるものです。(マリ/30代前半/男性)
マリの男性は、ふたつの象徴的な例を挙げてくれました。水のペットボトルというのは、JR東日本ウォータービジネスが販売する、落ちないキャップのミネラルウォーター「FROM AQUA」ですね。移動中の飲用に便利なように作られた、ボトル本体から切り離さず飲むことのできる設計のキャップは、この方の言葉にあるように「忙しい日本人にちょうどいい」デザインですね。
また、普段何気なく見過ごしがちな縦書きの屋外広告も、日本語が縦書き可能な言語であるからこその手法。そう考えると、縦書きだからこそできるデザインというものはまだまだ沢山ありそうです。
・サービスですね。デパートが開店すると、店員さんがみんな自分の店の前でいらっしゃいませと挨拶してくれます。(タイ/30代後半/女性)
・サービスでの気遣い、また利用者の気持ちをよく考えた使いやすいパッケージの作り方(ペルー/40代前半/女性)
最後に紹介するのは、日本ならではのサービスについての回答。デパートの開店時に店員さんたちがずらりと並び、お辞儀をしてお客さんを出迎えるのは、日本ではよくある光景のひとつですが、やはり日本らしい一場面とのこと。
また、「利用者の気持ちを考えた使いやすいパッケージ」というのは、細やかなところまで気を配る"日本らしさ"が現れたデザインと言えそうです。
今回のアンケートで得られた回答の多くが、日本らしい細やかな配慮が込められた製品/サービスに関するものでした。2020年の東京五輪の招致スピーチで滝川クリステルさんが発言した「お・も・て・な・し」というフレーズが今話題になっていますが、"日本らしさ"というのはまさにおもてなしの心にあるのかもしれません。
