ロボットを駆使して人命救助を行うレスキューコンテスト

去る8月10・11日に、神戸市にある神戸サンボーホールにて、「inrevium(インレビアム)杯第13回レスキューロボットコンテスト(レスコン)」の本選が開催された。今年初開催となった東京予選に引き続き、本選の模様もお届けする(画像1)。なお、inrevium杯とは、レスコンのメインスポンサーである東京エレクトロン デバイスのブランド名のことだ(同社は、第11回からレスコンをスポンサードしている)。

画像1。本選には14チームが参加。最初に選手宣誓などが行われる

レスコンは、1995年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに誕生した、ロボットを駆使したレスキューコンテストである。東京予選(記事はこちら)や、その告知をした記事(こちら)でも紹介したが、予選とは異なる本選ならではの部分を中心に、まずはどんなコンテストなのかを紹介させていただく。

レスコンは、被災地を模した6分の1スケールの実験フィールド(画像2~4)を舞台とするロボットを使った「レスキューコンテスト」である(レスキューが題材のロボットコンテストではなく、あらゆる場面でレスキュー活動を想定したコンテストである)。そのフィールド上には、ガレキの下などに被災者を模したダミー人形、通称「ダミヤン」が3体いるので(画像5~7)、それを制限時間の12分以内にレスキューロボットで救出し、そして安全なエリア(スターティングエリア)まで搬送するという内容だ。

画像2(左):実験フィールドを青サイド側から見たところ。かなり広い(おおよそ9m×9m)。画像3(中):実験フィールドを正面から。画像4(右):高台エリアを赤サイド側から見たところ

画像5(左):今回初登場の家ガレキの2階に寝かされているダミヤン。3体中最も救出の難易度が高い。画像6(中):下のエリアのもう1体の救出の様子。柱ガレキの下のすき間に寝かされている。画像7(右):高台エリアの1体も、柱ガレキの下のすき間に寝かされている

本選の初日にはファーストミッション全7競技が行われる(2チームが赤サイドと青サイドに別れ、同時に1競技を行う。ただし対戦ではないので、妨害はしてはならないし、時にはコミュニケーションも必要)。競技で救出や搬送を完了させたり、後述するがダミヤンの個体識別に成功したりするとポイントが加算され、その合計得点でファイナルミッション進出を競う。

また、競技前の2分間で行われるプレゼンテーションが時間オーバーだったり逆に短すぎたりしても減点されるし、競技中にダミヤンへの危険行為や相手チームへの明らかな妨害などがあった場合も減点対象となり、それらを加味した上で最終的なポイントは決定する(画像8・9)。2日目午後に開催されるファイナルミッションは、上位5チームのみが進出可能だ。

画像8(左):プレゼンテーションは、チームのスピーカー担当の選手が行うが、時間オーバーは減点となる。画像9:MS-R(金沢工業大学 夢考房)のプレゼン画面。ダミヤンの特徴を把握し、救助したダミヤンの情報をその家族のために、ということで持ち込んだモニターで表示した

さらに、ファーストミッションの6~11位の6チームは、2日目の午前中に開催されるセカンドミッション(全3競技)に周り、そこで得点の上位3チームがファイナルミッション進出となる。このセカンドミッションは、いってみれば敗者復活戦というわけだ。

そして2日目の午後に、合計8チームによりファイナルミッション全4競技が行われ、最も名誉のある「レスキュー工学大賞(レスキューロボットコンテスト計測自動制御学会特別賞)」以下、数々の賞が決定されるのである。しかしこう説明すると、ファイナルミッションで最高得点を叩き出したチームが優勝(レスキュー工学大賞受賞)と思えるだろうが、事実はまったく違う。ファイナルミッションの結果ももちろん吟味されるが、それだけではないのだ。