東北大学は、機器・構造物の強度や寿命を評価するための材料表面層の亀裂発生・亀裂進展の評価が可能となる「荷重制御型平面曲げ式疲労試験機」の製品実用化に成功したことを発表した。

同成果は同大大学院工学研究科ナノメカニクス専攻の祖山均教授らとテークスグループらによるもの。詳細は、5月17日~19日にかけて開催される「日本材料学会第62 期講演会」にて発表される予定。

さまざまな機器や構造物の強度を評価して寿命を予測することは、安全や安心の確保のために必須であり、それを実現するためには、破壊の基となる亀裂(ひび割れ)の発生や進展の評価が必要不可欠となる。中でも、表面に亀裂が発生して進展することが多いことから、材料の表面層の亀裂の発生と進展の評価が求められていたが、材料母材の亀裂発生うあ亀裂進展の評価法には、国際的な規格はあるものの、表面層の亀裂発生や亀裂進展を評価する装置は存在しなかったという。

これまでの研究から祖山教授は,平面曲げ式疲労試験機を用いることで表面改質層の亀裂発生・亀裂進展の評価が可能であることを見出していた。しかし、従来の変位制御型平面曲げ式疲労試験機では、疲労試験中に亀裂の進展に伴って荷重が変動してしまうため、亀裂発生の定量的評価を行うことができないという課題があった。そこで今回の研究では、疲労試験中に荷重をモニタしながら荷重を負荷し、亀裂が進展しても負荷荷重が一定となる荷重制御型の平面曲げ式疲労試験機の開発を行った。

実際に同試験機を用いて、下限界応力拡大係数範囲が3.75MPa√mのステンレス鋼(SUS316L)を、祖山教授が開発してきたキャビテーションピーニングを用いることで、7.35MPa√mに向上できることが確認されたという。

なお、同試験機はテークスグループより、2013年中に販売開始される予定だという。

荷重制御型平面曲げ式疲労試験機の外観