カネカは11月20日、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故における放射性セシウムなどによる放射性物質汚染地域の放射能除染に対する取り組みとして自社が保有する発酵技術・精製技術を活用した環境に優しい洗浄剤「カネカ天然界面活性剤」を開発、除染現場への供給を開始したことを明らかにした。

同洗浄剤は、道路、建物などの除染において、低濃度の希釈水溶液として少量を使用することで、汚染物質を飛散・拡散させることなく効率的に回収するのに有効なもの。除染対象区域内の現場において除染効率についての検証も実施済みで、効果が確認されたことから実現場への提供が決定されたという。

通常の洗浄剤の主成分である界面活性剤は化学合成により作られているが、同製品は微生物による発酵で作られた天然物の成分を採用しており、自然環境に優しい洗浄剤となっている。

また洗浄成分は、低濃度で大きな洗浄効果を発揮することから、使用量を少なくできるほか、生分解性にも優れるため環境への影響を最小限に抑えることができるという。

さらに、使用後回収した洗浄水から、洗浄成分を沈殿・除去できる性質を持つため、排水への洗浄成分混入を防ぐことが可能だ。

なお同社では、同製品の投入により早期除染に貢献していきたいとコメントしている。

洗浄剤による除染機構の模式図(上)と、汚染水の処理の模式図(下)