TANAKAホールディングスは11月8日、田中貴金属グループのめっき事業を展開する日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(EEJA)が、パラジウム-コバルト合金めっき液「PALLADEX PC200」を開発、2011年11月9日より提供開始することを発表した。

従来、電気接点には電気的性能の高い硬質金めっき液が使用されているが、金相場が高水準で推移しており、電気接点メーカーは、金めっき液の代替として、より安価で高い硬度と耐腐食性を持つパラジウムめっき液の活用を模索しており、EEJAでも、少貴金属化や他の金属材料での代替品を開発過程においてパラジウム-コバルト合金めっき液「PALLADEX PC-100」を提供してきた。

しかし、従来のパラジウム-コバルト合金めっきは、電流密度やめっき浴温、pH(水素イオン指数)といった製造時の操作環境が、析出するめっき膜中のコバルト含有量(コバルト共析量)に影響を与えてしまい、電気接点の硬度と耐腐食性を左右するコバルト共析量は、20w%が理想だが、PC-100のコバルト共析量は、10~30w%(20±10w%)と幅が広いため、ユーザーが要求する硬度を持つ電気接点を安定的に製造することができなかった。

また、運用効率の課題として、めっき液1リットルあたりパラジウムを1.6g析出すると、成膜速度の低下やコバルト共析量の変動といった劣化が起こるため、ユーザーは頻繁にめっき液を交換する必要があるなどの理由もあり、PC-100をはじめとした市場で販売されているパラジウム-コバルト合金めっき液は、これまで、金めっき液の代替として、量産レベルの電気接点材料に採用することが困難であった。

今回開発された同製品は、めっき液中の金属イオンを安定化させ、めっき液の組成を調整したことで、電流密度の影響を受けずに、コバルト共析量を目標値の20w%に対して17~23w%(20±3w%)の間で安定して析出できる技術を導入したほか、パラジウムイオンやコバルトイオンの変性を抑制する機構を取り入れたことにより、めっき液1リットルあたりパラジウムを10g以上析出させても、析出効率の急速な低下といった劣化が起きず、従来品比で7倍以上の寿命を実現したという。

また、これにより金めっき液と比べて約90%の貴金属地金コストダウンが可能なほか、硬度が100Hvである金めっき液と比べて、450~600Hvを実現しており、耐摩耗性の向上も可能だという。

さらに、こうした特長から電気接点のほか、半導体やMEMS用のプローブピンを現在の主流であるロジウムから代替可能で、これにより約60%の貴金属地金コストダウンが可能だという。また、半導体パッケージ基板でも、現在の最適材料である「電解ニッケル-パラジウム-金めっき液」と比べ、約20%の貴金属地金コストダウンが可能だという。