Continua Health Allianceは2月17日、都内で会見を開き、Continuaの設計ガイドラインに準拠した健康管理機器の製品化に伴い、健康管理サービス事業者がこれらの機器の利用を本格的に開始することを宣言した。

日本市場向けの同アライアンス対応機器としては、すでに体重計や血圧計、PCなどが提供されており、今回の本格活用に伴い、およそ20社が製品の対応を表明しているほか、訪問介護や医療関連情報システム構築メーカーなどが、それぞれの健康管理サービスやシステムにこれら対応機器を活用していく計画を表明している。

Continua Health Alliance 代表のRick.A.Cnossen氏

同アライアンス代表のRick.A.Cnossen氏は、「日本は我々が策定したガイドラインの製品開発におけるリーダーであり、真の意味で医療を改革へと導ける企業が多く存在している」と、日本の位置付けが高いところにあることを強調する。

また、「我々の描いている世界は、正しいデータが正しい時に正しい場所に届くこと」(同)とし、3つの分野「健康管理」「慢性疾患の管理」「高齢者の自立生活」において、「医者やトレーナーなどとユーザーをつなぐことで、より健康な生活を3つの分野を複合して同時に実現することをICTの活用でサポートしていくのがContinuaの使命だ」と述べ、参加企業の数も2006年6月の設立時に22社であったものが2010年第1四半期で300社近くまで拡大しており、注目を集めだしているとした。

Continuaに参加する企業の数は2009年12月末で227社に達した

すでに同アライアンス認定機器およびデバイスは13種、「2010年末までにはこれが50種まで拡大することがほぼ確定している」(同)としており、「今後、さらに世界規模でこうした分野への取り組みが進み、その先駆者として日本が位置づけられ、パーソナル医療の分野に向けた革新を世界に届ける役割を担ってくれるはず」(同)と、日本地域への期待を表した。

Continuaに認定されたデバイス、機器は現在13種類だが、それらを活用するサービスは含まれない。サービス事業者は、これらの機器を買うことで、自由にビジネスに使うことが可能となる

コンティニュア・ヘルス・アライアンス日本地域委員会 代表企業 インテルの代表取締役社長である吉田和正氏

医療の革新を生み出す地域として期待される日本だが、そのヘルスケアの環境はというと、65歳以上の高齢化率が「現在23%、米国で15%程度と圧倒的に高い。こうした現状を踏まえて、日本という国づくりをどういう方向に向かうのかが、国家全体の課題となっている」(コンティニュア・ヘルス・アライアンス日本地域委員会 代表企業 インテルの代表取締役社長である吉田和正氏)と説明したほか、生活習慣病は、医療費34兆円(2008年)のうち約33.4%を占めているほか、老人医療費も約43.4%と高く、この2つをいかに減らすかが医療費の抑制と豊かで健康な社会の構築には不可欠とした。

日本は超高齢化社会を迎えようとしており、そこにかかる医療費は実に全体の4割をすでに突破している。日本の人口が減少していく今後、こうした費用の捻出が今まで以上の大きな問題となっていくこととなるわけで、そこにかかる費用を抑えられれば、国民の負担(税金)も減ることにつながる

帝京大学本部情報システム部部長で、帝京大学医学部附属病院 麻酔科学講座の澤智博氏

また、帝京大学本部情報システム部部長で、帝京大学医学部附属病院 麻酔科学講座の澤智博氏は、「65歳以上の人口は指数関数的に増加していくが、医者の数は同じように増加していくわけではない。そうなると、患者数とそれを見ることができる医者の数の差が深い溝となってしまう。また、旧来の偉い先生の言うことが絶対、といったようなパラダイムが医療不信を引き起こし、結果として現場を疲弊させてきた。こうした医療現場の疲弊、そして患者と医者の数のギャップを埋めるのがテクノロジーであり、患者側が自らデータを溜めていくことで、予測(Prediction)、予防(Prevention)、参加(Participation)、個別(Personalization)の4つのP(4Ps)による新たなパラダイムを生み出すことができるようになるはず」と指摘、生活スタイルの修正や健康の増進をユーザー自らが理解できることにより、医者側との接し方も「これまで、調子が悪いから医者に行くといったような点で接した医療から、面による医療へと質が変化する」(同)ことにより、より良い関係が築けるようになるはずとの期待を表した。

65歳以上人口の増加速度と医師の数の増え方が違うため、医師の負担が増大していくこととなる

米国にて2000年に公表されたデータだが、医療ミスは交通事故などの不慮の事故による死亡数よりも多いことが指摘され、医療不信への引き金になった

自分が病気かな、と異常を感じた場合に医師の元に相談に行くのがこれまでの一般的な考え方であった

常に自分でデータを蓄積していくことで、そのデータを活用して医師側でもトレンド検知が可能となるなど、異常を感じたから病院にいくという点ではなく、常にデータのやり取りを行うことで、つながった面のような関係を医師と患者が構築できるようになることが期待される

ゲノムのデータと、ライフスタイルのデータを合わせることで、その人の環境やライフスタイルも含めた解析が医療現場で可能となる可能性もでてくる

Continuaは利用シーンの規定がないため、個人での活用から病院での活用まで幅広く、しかも各機器の接続規格が決まっているため、家庭から病院へのデータ移行というのもスムーズに行えるのが特徴

Freescale Semiconductorが提供するUSB接続機器向けソリューション

オムロンヘルスケアが提供するBluetooth搭載健康機器(血圧計、体組成計、歩数計の3製品ともに2010年3月12日発売予定)

タニタの体組成計、歩数計、USBレシーバー