Alteraが28nmプロセス世代の新技術を公開

Alteraは2月2日、28nmプロセス世代のFPGAで採用される予定の新技術などについて明らかにした。同技術の概要について、同社Vice President,Product&Corporate MarketingのVince Hu氏に話を聞く機会を得たので、その内容をお届けしたい。

今回明らかにされた新技術は「Embedded HardCopy Blocks」「partial reconfiguration」「28-Gbps transceivers」の3つ。いずれも、ネットワークの利用拡大および帯域の増大に対応することが可能となる技術で、「市場から要求が高かったニーズへの対応が可能になる」とHu氏は説明する。

インターネットへの接続数は拡大を続けており、全世界でモバイル機器からの接続は2013年末までに17億ユーザーが、FTTHは1億3,000万コネクション(2013年末までに)となるほか、3Gに対応する携帯端末の割合は約38%(同)に増加、LTE/WiMAX(4G)のユーザーも約5,600万になり、モバイル・バックホールのキャパシティは90,000Gbps必要となると見られる。また、クラウドコンピューティングの進展により、2014年末までにモバイルアプリケーションの利用者数は9億9,800万まで増加することが見込まれる。

こうしたユーザー数や回線数、通信速度の増加が意味することは、扱うデータ量が増大するということ。すでにiPhoneは5,700万ユーザーとも言われており、その多くが動画や音楽の視聴と見られ、従来よりも多くのデータ量が送受信されるようになってきた。

ネットワークの接続数の増加と活用方法の変化によりバンド幅の拡大ニーズが高まる

こうしたトラフィックの増加は、基地局や回線数の増加などで対応が可能であるが、単に増加させただけではシステムコストも電力コストも増加することとなり、結果としてその負担はエンドユーザーに圧し掛かることとなり、ユーザーに負荷をかけることとなる。

ではトラフィック量を抑えれば良いかというと、例えばテレビの画像データはフルHDから4K2Kへと高解像度が進むほか、3D放送も始まろうとしている。また、監視カメラといったアプリケーションもネットワーク化、そして解像度もSDからHD、HDからフルHD化やWDR(ワイドダイナミックレンジ)対応といった動きを見せており、伝送経路や装置も10Gbpsから100Gbps、そしてHDビデオへの対応として400Gbpsへの対応が要求されることとなり、トラフィックはむしろ増える方向にある。

結論として、システムコストや消費電力を抑えつつバンド幅を増加させるということがカスタマから要求されることとなるが、現行の40nmプロセスを用いた100Gbps対応FPGAの技術で400GbpsのFPGAをそのまま作製した場合、集積度、消費電力、トランシーバ数いずれも現行FPGA比で4倍となり、チップサイズは4倍以上の大きさとなる。消費電力もチップサイズもそれだけ大きくなるのであれば、システムコストも消費電力も下げることはできない。

さまざまなアプリケーションでバンド幅の拡大ニーズが高まっている

これまで半導体はムーアの法則を例に挙げるまでもなく、プロセスの微細化を進めることでトランジスタ数の増加と消費電力の低減を実現してきた。FPGAも同様で、前述の40nmプロセスを28nmプロセスへ変更すると、集積度は3倍に、消費電力は3.5倍、トランシーバ数4倍へと減らすことができる。しかし、トランシーバやI/O部はアナログ回路で構成されるためプロセスのシュリンクの恩恵はなかなか受けるのが難しく、チップサイズの小型化は難しく、また要求仕様まで電力を下げられたとはいえない。そこで同社が導き出した答えが28nmプロセスへの微細化と3つの新たな技術だ。

既存の40nmプロセスでそのまま400Gbps対応FPGAを作ろうとすれば、チップサイズは相当大きなものとなるほか、消費電力なども許容できないレベルのものとなるという

40nmから28nmにプロセスを微細化しただけでは電力量などは削減はそれほど期待できない