Wind RiverのVice President and General Manager,Aerospace and Defense BusinessであるRobert Hoffman氏

Wind Riverの日本法人であるウインドリバーは11月25日、都内で記者説明会を開催し、Wind RiverのVice President and General Manager,Aerospace and Defense BusinessであるRobert Hoffman氏が「今後10年間の脅威にいかに対応するか」と題し、航空宇宙/防衛分野を取り巻く現状と、その対応策の提案を説明した。

Wind Riverにとって航空宇宙/防衛分野は、800社のカスタマを持ち、総売り上げの1/3を占める規模を持つほど重要な分野。この中で防衛分野は日本市場が減少傾向、米国もオバマ大統領となり国家として国防に割く防衛予算は6,600億ドル程度で推移している。

米国の国防予算の推移

こうした状況について、Hoffman氏は「世の中がテロ活動なども併せ、危険になってきた」ことと「その中で国家は防衛予算を抑制する傾向にある」ことがポイントとし、「予算が抑制される中、そうした分野の企業はどういった対応をとるのか。さまざまな脅威に対するシステムの開発を進めている訳だが、そういったシステムはより複雑化し、かつ通信量が増大する傾向にあり、そうしたシステムの省スペース化しながら、それらの要求を実現することが求められている」とし、システムの統合により、コストダウンを図る方向で動いていることを強調する。

そうした意味では、すでに「Boeing 787のコアシステムでは100以上のLine Replaceable Units(LRU)を統廃合した結果、2,000ポンド以上の重量削減を達成した」(同)とする。ただし、単にシステムの統合だけではプロセッサパワーが足りなくなるため、CPUなどの高性能化やマルチコア化と合わせて進んでいく必要があるとし、こうした高性能化と統廃合の要求は自動車などの分野にも当てはまると指摘した。

こうした高性能化と統廃合を目指すという要求に対する解について同氏は「マルチコア対応のパーティショニングOSが1つの解となる」ことを強調。マルチコアを活用する上でもっとも重要となるのが「ハイパーバイザ」とし、シングルコアでもマルチコアでも関係なくハイパーバイザを活用することで、複数のOSを稼働させることで、複雑なシステムを小型化することが可能になるとする。

プロセスの微細化、トランジスタ数の増加、マルチコア化によりCPU性能は向上していく

ただし、「これは重要なことだが、カスタマが独力でやろうとすれば、できないことはないが非常に多大な労力を要することとなる。そうした苦労について、Wind Riverおよびパートナー各社は協力して解決する用意がある」と同氏は語る。

また、一方のパーティショニング対応OSは、ハイパーバイザ上に複数のOSを稼働させるのは一般の仮想化と差異は無いが、それぞれを独立したアドレス空間などで扱うことで、それぞれに影響を及ぼさないセキュアな仕組みとなっているのが特長。こうすることで、従来、複数のコンピュータで別個に対応していた各々のシステムを1つのプロセッサで処理することが可能になり、かつ1つのシステムがクラックされてもほかには影響を及ぼさなくすることができ、セキュリティリスクも減らすことができるという。

パーティショニングにより、それぞれのOSを別空間で存在させることで、独立性を維持する

ただし、マルチコアについてはハイレベルのセキュリティ分野ではさまざまな課題が残っているためまだ認証が出ていないのが現状であり、「Wind Riverとしては、IntelおよびFreescale Semiconductorと協力し、こうしたマルチコアに起因する問題を2年程度で解決していきたい」(同)と目標を示し、「変化は急に起きるものであり、そして時には破壊的なものになる。そうした状況を乗り越え、ビジネスを成功に導くためには多くの強力な連携が重要になる。すでに我々は多くのカスタマと培った経験があり、そうした課題に対して対応する準備も進めている。もし、我々との連携が必要であれば、いつでも歓迎する」と、航空宇宙/防衛分野に限らず、こうした技術が要求される分野であればどういったものでも対応していくことを示した。