『ADOBE CREATIVE SUITE 4 クロスメディア ガイドブック』(Web Designing、+DESIGNING編) 1,890円(弊社刊)

毎日コミュニケーションズより発売されたCREATIVE SUITE 4関連書籍『ADOBE CREATIVE SUITE 4 クロスメディア ガイドブック』(Web Designing、+DESIGNING編)は、"クロスメディア"をキーワードに、その実例からCS4の新機能紹介にいたるまで、CS4を網羅的にわかりやすく解説している。その内容について、紹介してみたい。

「本書は『Adobe Creative Suite 4』導入の手引きであると同時に、クロスメディア導入の手引きなんです。すでにコミュニケーションはクロスメディアの時代になっていて、ひとつのテーマや素材であらゆるメディアに展開していかなければなりません。そのときに必要になるのが、各メディアを効率よく制作できるツールなわけで、それがAdobe Creative Suite 4なんですね」

そう語るのは本書の編集を担当した雑誌『+DESIGNING』(弊社刊)の小木昌樹編集長。本書はCS4の制作ツールとしての側面だけでなく、CS4を媒介としていかに効率の良いコミュニケーションが図れるのか、読者自身が最適な使用方法を見つけ、新たな価値の発見をサポートするようなガイドブックとして、その役割を担っている。

第1章 クロスメディアとは何か?

それでは早速、内容に触れて本書のポイントをピックアップしてみたい。

第1章「その1 クロスメディアとは何か?」では、クロスメディアという考え方について詳しく解説がなされている。クロスメディアを理解するうえで必要な要素を、順を追って図版とともに掲載。メディアについて、クロスメディアの本質、マスコミュニケーションの崩壊、ビジネスとしてのコミュニケーション、クロスメディアの進展、クロスメディアを実現するワークフローなどと、目次の見出しを見るだけでも、全体を通して「クロスメディア」という一見わかりにくい概念について、ハッキリとした輪郭を浮き彫りにすることができる。

続いて、「その2 +DESIGNING クロスメディア・ケーススタディ」では、『+DESIGNING』の誌面をサンプルに用いて、紙媒体からWebサイト、デジタル雑誌、モバイルサイト、Webビデオにいたるまでの展開例を制作。CS4のアプリケーションを使って具体的にどのようなことが可能であるのか、CS4で可能な方法論の一例を提示しつつ、先述のクロスメディア解説を応用するカタチで、初心者にもわかりやすい説明がなされている。

「クロスメディア・ケースタディ」は、メディアをまたいだ展開例を紹介

第2章 事例から学ぶクロスメディア

第2章「事例から学ぶクロスメディア」では、実際にクロスメディアでビジネスを行っている実例を紹介。ファッションという切り口で紙媒体、PC、モバイルという3つのメディア展開を行っている『eruca』(リクルート刊)の実例では、3媒体でカスタマーにアプローチする方法とメリットについて詳しく解説されている。積極的にウェブやモバイルメディアも取り入れているクルマ情報誌『Goo』(プロトコーポレーション刊)の実例では、クロスメディアパブリッシングを展開するうえでの、情報の管理方法やメディア掲載までのプロセスを紹介。続けて、パンフレット、チラシ、サイト、トレーラーなど、クロスメディアでコンテンツを伝える映画プロモーションを、『ゼラチンシルバーLOVE』のプロモーションを行うファントム・フィルムの例を通して紹介する。その他、楽天のブランディングを一手に担当しているアイ・エム・ジェイの事例、同じくアイ・エム・ジェイが手掛けている日健協サービスの例など、多くの実例を通してクロスメディアの方法論と、その効率性、コストといった実務的なメリットについて紹介がなされている。

実際にクロスメディアでビジネスを展開する事例を紹介

「プレ取材で、ある大手映画会社の宣伝部の方と電話で話をしたんです。なぜクロスメディア展開をするのか? という質問をしたところ、逆に『なぜそんな質問をするんですか? クロスメディアという言葉を使ってはいませんが、あらゆるメディアを使ってプロモーションするのは当たり前ではないでしょうか?』と言われたんです。これには目を開かされる思いでした」と語る小木編集長。クロスメディアという言葉は使わないまでも、ひとつのメディアでコミュニケーションを図る時代はとっくに過ぎ去っていることを、本書の制作を通して改めて実感したそうだ。