自ら現場に出向くことで「社員にとっての"突破口"につながればいい」とする。「必要以上の現場への介入は行わないよう、切り分けはきっちりとしていきたい」

--出荷数量の手応えはどうですか。

弥生の販売ルートには大きく2つのルートがあります。ひとつは、量販店を通じた販売です。すでにディストリビュータには出荷が始まっていますが、08シリーズに比べて、出荷は順調であるとの報告を受けています。私自身、大手量販店の本部の仕入れ担当者や、実際に店舗を訪れて店長さんに対して、直接、製品説明をさせていただいています。直接お話することで、製品の良さを実感し、ご理解していただけますから、この活動はもっと精力的に取り組んでいきたいと思っています。いまのところは、10店舗ほどを訪問しただけなのですが、来年1月までには3桁の店舗にはお邪魔したいと、個人目標を立てているんです(笑)。現在、量販店では、景気低迷、個人消費の停滞といったこともあり、在庫を絞りこんだり、ソフト売り場を縮小するという傾向が出ています。お店の方ともっとお話することで、市場全体を盛り上げていくといったことにも取り組みたいですね。

--社長自らが店頭に出向く理由はなんですか。

当社の営業担当者が、直接、店長とお話しする機会というのは、実はそうあるものではないんです。私がお邪魔することでそのお時間をとっていただくということもあります。営業という観点から見れば、いわば突破口としての役割ですね。また、実際に私が店頭に立って、お客様とお話することで、どんな要望があるのかを聞くこともできる。12月5日、6日も店頭に立つ予定です。

こうした活動を開始した背景には、量販店の方に叱られた経験が大きいですね。面と向かって、「PCソフトのメーカーは、営業努力をしていない」と言われたことがありました。お店にお邪魔しても、「今度、こんな商品が出ましたので、よろしくお願いします」で終わりだと。デジタル家電のように競争が激しい世界では、我々とは比べものにならないような、営業努力をしているはずです。営業という観点で、学ばなくてはいけないこと、努力しなくてはいけないことはたくさんあると感じています。私は「現場は正しい」と思っています。現場が正しいと思っているからこそ、私自身も現場に出向くことに時間を割きたいし、社員にも現場を重視してほしいといっています。

--もうひとつのルートは、ディーラー系ルートということになりますね。

そうですね。弥生ビジネスパートナー(YBP)では、ユーザーに対して、製品の説明や指導をしていただきながら、販売する形態をとっています。 そして、税理士など加盟するPAP(Professional Advisor Program)では、税理士の指導のもとに、弥生を導入していただくという形態となります。11月中旬に、東京、名古屋、大阪、福岡でパートナーカンファレンスを開催しました。パートナー各社からは高い評価を得ていますし、前向きな声もいただき、かなりの手応えを感じています。

発売日の12月5日は自ら量販店に赴き、弥生 09シリーズのデモンストレーションを行った。「社員全員が胸を張ってご提供できる製品だと自負しています」(ビックカメラ有楽町本館にて)