米Ciscoは15日(現地時間)、将来のトラフィック増加に向けてビデオサービス機能を強化した新製品群ならびにオプションを発表した。今回発表されたのはサービスルータ「Cisco 7600 Series」向けの40Gラインカード、パフォーマンスを強化したスイッチ製品の「Cisco ME 4500」と「Cisco ME 3400E」、モバイルワイヤレスルータの「Cisco MWR 2941」の計4製品。

ネットワーク業界の将来予測をまとめた「Cisco Visual Networking Index (VNI) Forecast and Methodology, 2007-2012」の中で同社は、2007年から2012年までの間にトラフィックは6倍に増加し、さらにそのコンシューマ向けトラフィックの半分がビデオ通信によるものだという。また同期間に携帯などのモバイル環境でやりとりされるデータは125%増加するとも指摘している。こうしたトラフィックの増加に備え、NGN向けのネットワーク基盤を提供するのが新製品の機能だとCiscoでは説明する。

Cisco 7600と40Gラインカード

QoSなどのネットワーク通信のサービスレベルを制御するのがサービスルータの役割で、Cisco 7600向けの40Gラインカードはインタフェースまわりの処理能力を強化するためのもの。マルチキャストやユニキャストに対応し、契約者単位のQoS制御をサポートする。また今回のオプション提供にあたって、Cisco 7600向けのIPoDWDM(IP over DWDM)機能が追加されている。これはCRS-1やXR 12000ですでに提供されているもので、多数の波長を束ねるDWDMを介して大量のIPトラフィックの転送が可能になる。

Cisco ME 4500とCisco ME 3400E

今回の発表では、既存のアクセススイッチ製品であるME 4500とME 3400への機能拡張が発表されている。Cisco ME 4500では従来比2.5倍の160Gbpsまでスイッチ処理のバックプレーン容量が増加しており、スロット単位では4倍の24Gbpsとなっている。Cisco ME 3400Eは旧バージョンの機能拡張版で、主に可用性やセキュリティなどが強化されている点が特徴。両製品ともにVQE(Visual Quality Exprience)やVideo CAC(Connection Admission Control)、Video Monitoringといった同社のビデオ配信向け技術が組み込まれている。

Cisco MWR 2941

MWR(Mobile Wireless Router)は携帯のセルサイト(Cell Site: 基地局)向けのルータ製品。今回発表されたのはこのエッジルータの最新版で、同社がMToP(Mobile Transport over Pseudo-wire)と呼ぶサービスキャリア向けソリューションのコアコンポーネントの1つにあたるもの。MToPでは既存の有線ネットワークと無線ネットワーク(RAN)を1つのIPネットワークで統合することを主眼に置いており、いわゆるNGNの基本思想を体現している。2Gや3Gだけでなく、現在標準化が進んでいる4Gネットワークを含め、よりリッチなサービスを提供できるインフラ構築を目指す。

またこのほかIPサービス拡充の一環としてCiscoは同日、ビデオ・サーベイランス(監視)ソリューションの強化も発表している。監視カメラなどセキュリティ用途に使用されるビデオ・サーベイランスだが、今回発表されたのは監視インフラを提供する「Physical Security Multiservices Platform」、IPカメラの「SD Indoor and Outdoor IP Fixed Dome Camera」の2つ。このほか、サーベイランス用の管理アプリケーションのバージョンアップも発表されている。