PythonもTcl/TKもあるが、gccがない

LiveCD上のツールの、後述の「Device Driver Utility」や、パッケージ管理コマンドの/usr/bin/pkgなどは、Pythonスクリプトとして記述されています。このため、LiveCD上にはPythonがインストールされています。PythonではGUIのモジュールとして、TkinterやPyGTKが使え、Tcl/Tk自体もインストールされています。

ところが、残念ながらgccはインストールされていませんでした(KNOPPIXではCD版でもgccが含まれているのですが)。LiveCD上にgccを追加インストールすることも考えてみましたが、LiveCDでは/usr/sfw/binなどのディレクトリがリードオンリーのため不可能です。gccのインストールは、ハードディスクにOSをインストールした後まで待つことになります。

システム時刻とタイムゾーンがおかしい

LiveCD上では、時刻が正しく表示されません(前掲の図2のGNOMEの画面の右上に表示されている時刻も正しい時刻ではありません)。詳しく見てみると、LiveCDでは言語選択にかかわらず、常にTZ=PST8PDT(太平洋標準時/太平洋夏時間)のタイムゾーンに設定されるのです。さらに、カーネルの保持するシステム時刻は、PCのBIOSクロックをUTCとみなして立ち上がるようです(UNIXワークステーションとは異なり、PCのBIOSクロックは日本時間に合わせるのが普通)。このため、システム時刻とタイムゾーンの両方の原因で表示時刻がずれます。

ここで、インストーラのアイコンをクリックしてインストーラを起動すると、その瞬間に/etc/TIMEZONE(/etc/default/initへのシンボリックリンク)が書き換えられてTZ=UTCの状態にいったん設定され、その後、タイムゾーンの設定画面で日本時間を選択すると、TZ=Japanに設定されるとともに、PCのBIOSクロックを日本時間とみなしてシステム時刻も修正されます。

しかし、これではLiveCDとしてのみ使用する場合に不便です。できればGNOMEの起動前にタイムゾーンの選択肢を設けるか、または言語選択で日本語を選んだ場合は自動的に時刻も日本時間になるように改善したほうがよいと思います。

FirefoxのFlashプラグイン

LiveCDは、そのままインターネットにアクセス可能です。そこで、Firefoxでインターネット上のWebサイトのいくつかにアクセスしてみました。その中で、Flashを使ったWebページでは、Flash Playerをダウンロードするためのアイコンが表示されます、これをクリックすると自動的にFlash Playerがダウンロードされ、$HOME/.mozilla/plugins/libflashplayer.soとしてインストールされます(LiveCD環境でも、ホームディレクトリ以下には書き込み可能です)。この状態のまま、Firefoxを再起動することなく、Flashの動画が音声とともに再生されました。この時点ではとくに意識していなかったものの、オーディオデバイスも自動認識されていたことになります。

SCSIカードのドライバがない!

ここで改めてLiveCD上で認識されているデバイスを確認してみることにしました。GNOMEのデスクトップ上の「Device Driver Utility」のアイコンをクリックすると、図4のようなウィンドウが表示されます。

図4 「Device Driver Utility」(赤表示のデバイスはドライバがない)

赤で表示された3つのデバイスは、ドライバが用意されていないため使用できません。オーディオデバイスについては、PCIカードのYMF-724Fが使えないものの、オンボードのIntel audio810が使えています。ネットワークデバイスについては、オンボードのBCM4401が使えないもののPCIカードのIntel 82559が使えています。

問題はストレージデバイスです。なんと、Adaptec AIC-7861と表示されているSCSIカードのAHA-2940Uのドライバがないのです。今ではSCSIは古いものになってしまったのかも知れませんが、筆者はハードディスクをすべて外付けSCSIディスクにして、内蔵IDEディスクを使わない主義で、今までSCSIカードの定番のAHA-2940Uを使ってきました。このような定番のデバイスのドライバが含まれていないことが、かなりの驚きです。

Sunのサイトによると、型番AHA-2940Uの中でも、AIC-7881Uのチップセットでは動作報告ありとなっているため、手持ちのAIC-7881Uのカードにも交換してみましたが、動きませんでした。

しかし、このままではOpenSolarisのインストールができないので、仕方なくIDEのハードディスクを用意し、PCに取り付けることにしました。実は、外付けSCSIディスクも内部ではIDE-SCSI変換器を使っており、ディスク自体はIDEディスクなので、これを取り出してIDEディスクとして使うことができるのです。