すばやくセンサネットワークを構築するためのモジュール - 丸文

半導体製品の販売やサポートを行う丸文は、ZigBee関連製品の展示およびデモンストレーションを行った。

動画4(WMV形式)

日本政府が目指す「ユビキタスセンサネットワーク」社会実現のために必要となる要素技術のひとつに「ZigBee」という近距離無線通信技術がある。2004年12月にZigBee Allianceにより承認されたこの規格は、その場に持ち込むだけで無線通信を形成することができるアドホック接続が可能な通信規格であり、電池だけで数年間は動作するほどの低消費電力であることを特徴としている。このセンサネットワークをビルや工場、家庭内などに張り巡らせ、インターネットを利用して機器をモニタリングしたり、コントロールすることができる。

今回、丸文が展示したサイレントシステム製のセンサネットワークモジュール「SS-1」や、小型サーバモジュール「OS-1」もこのようなZigBee関連製品のひとつといってよいだろう。というのも、本製品はIEEE 802.15.4対応製品であって、正確にはZigBeeではない。「ZigBee製品」と名乗るためには、ZigBee Allianceから認定を受ける必要がある。ZigBeeとはOSI参照モデルでいうところのネットワーク層からセッション層を担当するプロトコルスタックなのだが、本製品はこの部分に同社が独自に開発し、無償提供の「SilentStar」を使用している。

この部分については、米Freescaleが提供するZigBeeプロトコルスタック「BeeStack」に載せかえることも可能だが、開発ライセンスと、カスタマイズが必要になる。SilentStarであれば無償で使用可能なうえ、すぐにでもセンサネットワークシステムの構築を行うことができる。サイレントシステムのドキュメントによると、この製品を使用してシステムの試作を行い、製品の市場性などを検討し、その上でZigBeeの認定が必要ならばBeeStackに載せかえて認証を受け、製品化することを提案している。また動画でも担当者が説明しているが、とにかく安価に素早くセンサネットワークシステムを構築できることがこの製品の特徴だ。

センサネットワークモジュールSS-1はトランシーバモジュールに加速度センサ、温度センサ、1Mバイトのフラッシュメモリを内蔵した製品。A-DコンバータとI/Oを備えており、ユーザがセンサを追加することも可能。SS-1に採用されているFreescale製のチップ「MC13213」は、8ビットマイコン「MC9S08GT」とトランシーバ用チップ「MC1320x」を1チップ化した製品である。

また、センサネットワークをインターネット経由で制御するための小型サーバOS-1については、Freescale製の16ビットマイコン「MC9S12NE64」を搭載しており、TCP/IPプロトコルスタック、DHCPサーバ/クライアント、SMTPクライアントなどを実装している。

このほかにも32個のI/Oポートと、10ビットのA-Dコンバータ、2チャネルのシリアルポートを備えている。これらにより、SS-1によって構築したセンサネットワークにOS-1を経由してインターネットから制御を行ったり、情報を取得することなどができる。動画にもあるように、開発環境にも特徴がある。

価格は「SS-1」が7,800円、「OS-1」が6,800円、ペリフェラルボードが4,800円。