任意のファイルを選択するだけで内容をプレビューできる「クイックルック」

厳密にはFinderの新機能とはいえないが、Finder経由で実行する「クイックルック」はかなり画期的。Finderのカラム画面や「情報」ウインドウにひっそりと表示されていたプレビューが独立し、ビューアとしての機能が強化されたこのプログラムは、これからのMac OS Xになくてはならない機能になること確実だ。

クイックルックは、プレビューしたいファイルを選択して[SPACE]キー(または[Command]+[Y]キー)を押すと起動し、もう1度押すとウインドウは消える。起動とはいっても、独立したタスクが生成されるわけではなく、Finderがアクティブな状態のときしか表示されない。動作形態としてはインスペクタ(常に最前面に表示され選択状態にある項目の内容を表示するウインドウ)と同じで、常に表示しておきプレビューしたいファイルを都度選択する、という使い方もできる。

特筆すべきは、複数のファイルを選択したときの動作。QuickTimeがサポートするファイルフォーマットや各種文書ファイル(表1)を選択すると、ウインドウ下には再生ボタンと[前へ] / [次へ]ボタンが現れ、スライドショー表示や画像の切り替えも簡単に操作できる。複数の項目をタイル状に一覧表示する[インデックスシート]、画面いっぱいに表示する[フルスクリーン]ボタン、画像をiPhotoライブラリへ追加する[iPhotoへ追加]ボタンも用意されている。

表1: クイックルックが対応するファイルフォーマット

カテゴリ サポートされるファイル形式
静止画 QuickTimeがサポートする形式(jpg、png、tifなど)
動画 QuickTimeがサポートする形式(mov、mpg、aviなど)
サウンド QuickTimeがサポートする形式(aac、mp3、aiffなど)
文書ファイル PDF(pdf)、HTML(html)、プレインテキスト(txt、log)、リッチテキスト(rtf、rtfd)、開発系ファイル(m、c、hなど)、Excel(xls)、Word(doc)、Apple Mailのメッセージ、iWork '08書類(Keynote、Numbers、Pages)
フォント TrueType(ttf、dfont)、OpenType(otf)

起ち上がりの速さも、要注目だ。複数のファイルを選択した状態で起動しても、アイコンからウインドウへと拡大するアクション付きで1秒足らずのうちに表示される。OS標準のプレビューア「Preview」も起動速度は速いが、画像以外のファイルフォーマットにも対応するクイックルックのほうが応用範囲は広い。

EXCELワークシートもOS標準の機能でプレビューできる

アイコンプレビューも改良され、PDFや動画/静止画ファイルの内容が確認しやすくなった

Spotlightとの親和性

新しいFinderは、Spotlightとの親和性が格段に増した。Tigerでは、Spotlightウインドウ(検索結果で「すべてを表示」を選択すると現れる画面)はFinderとは別の外観 / 機能を備えていたが、LeopardではFinderウインドウ内にアイコンとして表示されるようになった。Finderの機能をフルに活用しつつSpotlightの高速検索が可能になったことは、Leopard全体の大きな特徴の1つといっていいだろう。

新しいFinderは、Tigerのとき(左)に比べ検索結果の表示が洗練された

たとえば、表示モードにCover Flowを選択した状態で適当なキーワードを検索バーへ入力すると、Spotlightの機能そのままの高速な検索が始まり、ヒットしたファイルはFinderウインドウ内にCover Flowの様式で表示される。Spotlightの特徴であるインクリメンタルサーチも有効で、文字入力のつどCover Flowに表示される項目が更新される様子は、なかなかのインパクトだ。

表示モードに「Cover Flow」を選択した状態でもSpotlight検索が可能

なぜこれまでなかった? 便利な「共有フォルダ」

情報ウインドウの[共有フォルダ]をチェックすれば、フォルダをネットワークへ公開できる

これまでのMac OS Xのファイル共有機能(AppleShareサーバ)は、独立したディスクおよびパーティション、または登録された各ユーザのホームフォルダが自動的に共有領域として設定されていた。また、特定のユーザのみ読み/書きできる共有領域を作成しようとすると、パーミッションの設定やグループの登録が必要になるため、クライアント版のMac OS Xでは難易度の高い作業になっていた。

Leopardでは、この問題をFinderの情報ウインドウだけで解決できる。フォルダの情報ウインドウを表示し、一般情報欄の[共有フォルダ]にチェックを入れれば第1段階はクリア。これだけで、他のMac(AppleShareクライアント)からマウント可能なフォルダとなるのだ。

特定のユーザのみ読み/書きできる領域にする場合は、共有とアクセス権欄を表示し、読み/書きを許可したいユーザを登録すればいい。そのコンピュータにアカウントを持つユーザ全員を対象にするときは「staff」を、ゲストも含めすべてのユーザを対象にするときは「everyone」のアクセス権を変更すればOK。なお、この共有設定はシステム環境設定の「共有」パネルでも作業可能だ。

ユーザやグループ単位でアクセス権を付与できる

もちろんLeopard以外のAppleShareクライアントからも接続可能(画面はTiger)