1基あたりのテクスチャユニットは、その最大テクセル数に着目すればバイリニアフィルタ処理付きFP32テクセル4個と、フィルタ処理無しのFP32テクセル4個の、合計8個のFP32テクセルが出力できるということになる。

先代のRadeon X1000シリーズまではテクスチャユニットはピクセルシェーダとしか接続されていなかったが、HD 2000シリーズでは全ての汎用シェーダユニットと接続されているため、頂点シェーダ、ジオメトリシェーダ、ピクセルシェーダのいかなるシェーダとして起用された際にもテクスチャアクセスがサポートされる。

これは特筆すべき点で、DirectX 9/SM3.0時代にはNVIDA GeForce 6000/7000シリーズ用の特権的機能であった頂点シェーダからのテクスチャアクセス機能「頂点テクスチャリング」(VTF:Vertex Texture Fetch)が、Radeon HD 2000シリーズでも問題なく実現できるようになったと言うことを意味する。

ATIはかつてRadeon X1000シリーズにVTF機能がないことの弁解キャンペーンを展開したことがあった。今となってはあれもいい思い出か?

もう一点、Radeon系のGPUについにDST/PCF(Depth Stencil Texture with Percentage Closer Filtering)機能がサポートされたことについても報告しなければならないだろう。これは、デプスバッファ/ステンシルバッファのアクセスの際にコストフリーでフィルタ処理付きの結果が得られる機能で、特許がらみの問題でNVIDIAのGeForce系にしか実装されてこなかったものだ。別名「NVIDIA SHADOW」とも言われたりしたこともあり、シャドウマップ技法における影生成で、ジャギーを低減できる効果があった。RadeonでNVIDIA SHADOW機能がサポートされるというのはある意味歴史的な出来事といえるかもしれない。Xbox 360の初代Xboxエミュレーション実装の際にも、この特許問題がクリアされたらしく、この技術使用に際してAMDとNVIDIAは全面的な合意がなされたのだろう。

Depth Stencil Texture with Percentage Closer Filteringの概念

DST/PCFなし。影のジャギーが鋭く出ている。Radeon X800シリーズによる画面

DST/PCFあり。影のジャギーが幾分か柔らかくなる。GeForce系専用だったこの機能がついにRadeonに

また、新しいテクスチャフォーマットとしてRGBE=9:9:9:5がサポートされることとなった。これは浮動小数点HDRテクスチャ向けのフォーマットで、正規化したRGBの各項に対し、共通の指数項Eを組み合わせたものになる。なお、各項はX=X×2^Eの形で解釈される。

DirectX 8時代から自前シェーダでこの仕組みを実装していた強者開発者もいたが、DirectX 10世代GPUでは、このフォーマットがハードウェア的にサポートされる。一般的なRGBα=8:8:8:8と同じ32ビット幅のフォーマットなのにHDR表現が出来るため、速度の速さと表現域の広さの両方を求められる3Dゲームのようなリアルタイム3Dグラフィックスに向いているとされる。

機能自体も拡張されたRadeon HD 2000シリーズのテクスチャユニット