兵庫県神戸市の三宮といえば、神戸市で最も栄える繁華街のひとつだ。鉄道路線は「JR西日本東海道本線」「阪急電鉄神戸本線」「神戸高速鉄道」「阪神電鉄本線」「神戸市営地下鉄山手線」「神戸市営地下鉄海岸線」「神戸新交通ポートライナー」の7路線が集まっている。「阪急電鉄神戸本線」と「神戸高速鉄道」は共通の駅のため駅の数は6つになる。そして、これらの駅はすべて違う町名である。そして三宮町にはひとつも駅がない。

神戸新交通(ポートライナー)の三宮駅の所在地は神戸市中央区「雲井通」

神戸市営地下鉄山手線の三宮駅の所在地は神戸市中央区「北長狭通」

阪神電鉄の三宮駅の所在地は神戸市中央区「小野柄通」

三宮駅は地下鉄や私鉄は「三宮駅」と表記される。一方、JRは「三ノ宮」駅と表記し「ノ」が入る。JRだけ「三ノ宮」とした理由は、官営鉄道の駅として開業したとき、地元の人以外にも「さんのみや」と正しく読んでもらうためという説が有力という。他に、三宮は地名だが、三ノ宮筋という名の通りがあり、官営鉄道の駅名は通りの名に由来したという説もあるとのことだ。

三ノ宮駅と同様の例として、西宮(兵庫県)の「西ノ宮駅」、一関(岩手県)の「一ノ関駅」がある。このうち、西ノ宮駅は西宮市の要望の要望により2007年に西宮駅に改名した。しかし三ノ宮駅はJRとその他の路線を区別するために役立っているせいか、三ノ宮駅のままになっている。

三ノ宮駅に話を戻すと、官営鉄道の開業当初は現在の元町駅の近くに設置されたという。この付近に三宮神社があり、三ノ宮筋もあった。しかし、昭和時代に神戸市が現在の場所を商業の中心地として開発する計画を立てた。そこで、街の中心として三ノ宮駅を移転。所在地は「神戸市中央区布引町」である。つまり、三ノ宮駅の所在地が「三宮町」たった時期はない。

官営鉄道の移転後した駅付近には、阪神電鉄の駅もあった。当時の駅名は「神戸駅」で、その後、同社がさらに神戸寄りに新しい神戸駅を作ったため「三宮駅」に改名した。所在地は「神戸市中央区小野柄通」だ。阪神電鉄は官営鉄道の三ノ宮駅ができた後、もう一度神戸駅に改名し、また三宮駅に戻している。そして、ほぼ同じ時期に(阪神急行電鉄)の神戸駅が開業、しかしこの駅も後に三宮駅と改名する。所在地は「神戸市中央区加納町」である。

神戸新交通ポートアイランド線の三宮駅は「神戸市中央区雲井通」。神戸市営地下鉄山手線の三宮駅は「神戸市中央区北長狭通」。少し南に離れた神戸市営地下鉄海岸線の「三宮・花時計前」駅は「神戸市中央区磯上通」である。

地図を見ると「神戸市中央区三宮町」も確かに存在する。しかし、駅の所在地はどれも三宮町ではなく、全てわずかに離れていて、なんとも惜しいところである。そして、それぞれの駅の所在地がすべて違う町名という状況も興味深い。ちなみに東京の新宿駅は、JRが「新宿区新宿」で、東京都交通局大江戸線が「渋谷区代々木」。京王、小田急、東京メトロは「新宿区西新宿」となっている。

三宮駅と三宮町