京浜急行電鉄(京急)の平和島 - 六郷土手、京急蒲田 - 大鳥居間の連続立体工事が進んでいる。5月16日の始発電車からは大森町 - 雑色、京急蒲田駅 - 糀谷の上り線が高架側に切り替えられる。これにより踏切が閉まる時間が減り、国道15号をはじめとする交通渋滞が解消される。鉄道の高架工事は各地で実施されているが、その中でも京急は高度な技術を他社に先駆けて使ってきたという。京急の高架化工事は、他の工事とどう違うのだろう。

京急の連続立体交差工事区間

最も多い高架工事は「仮線方式」

それでは、全国でもっともよく見られる立体交差工事「仮線方式」の様子を、鉄道会社経営シミュレーションゲーム『A列車で行こう9』の画面を使って説明しよう。線路を敷き、列車を走らせ、街を発展させるこのゲームでは、列車の他にバスやトラックも運行できる。資金のない序盤は地平に線路を敷くが、バスやトラックをスムーズに運行するためには立体交差のほうが都合がいい。ゲームでも立体交差のメリットを利用できるのだ。

『A列車で行こう9』とは

『A列車で行こう9』はアートディンクが企画・開発し、サイバーフロントが販売する鉄道会社経営・都市開発シミュレーションゲーム。線路を敷き、列車を走らせ、駅に列車が発着すると都市が発展していく。シリーズ最新となる本作は、線路の形状やポイントの角度が増えて、実際の線路を再現しやすくなっている。 Windows 7 / Vista / XP 対応。価格は12,390円。 詳しくはこちら

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仮線設置方式の手順

この線路を高架化する。線路の隣の土地を買収する必要があるため、工事よりも用地確保に時間がかかるという。もっともゲームでは一瞬だ

複線の線路の隣に、もう1つ線路を敷く(仮線)。手前から奥へ進む列車を新しい線路で走らせる

列車が走らなくなった中央の線路を高架化し、奥から手前へ走る列車を高架線で走らせる

元からあったもう1つの線路を高架化して複線高架が完成する。奥から手前に向かう列車を新しい高架線に移し、仮線を走っていた手前から奥へ向かう列車を高架線で走らせる

仮線を撤去する。東京都の場合、住宅密集地の防災対策として、空いた土地は道路を設置するよう指導されているという

このように仮線を設置して、使用する線路を1つずつ切り替えることで、列車を運行したまま高架化工事ができるというわけだ。京急でも環状八号線を跨ぐ部分や大森町 - 平和島間などは、仮線方式を採用している。

京急が先駆けた「直上高架方式」は土地買収が最小限になる

これに対し、京急の高架化工事の特徴は「直上高架方式」。これは仮線を作らず、現在列車が走っている線路の真上に、高架の複線を同時につくってしまうという大胆な方法だ。この工法は仮線を敷くための土地を必要としないため、土地買収が最小限で済むというメリットがある。地権者との話し合いも短期間で済むという。ただし、列車が走る日中は実施できる作業に制限があるため、工期は長くなるとのことだ。京急の高架工事は住宅密集地が多いため、ほとんどの区間で「直上高架方式」を採用している。

京急の「直上高架方式」は線路の真上に高架線路を直接つくる

工事現場に掲出された直上高架施工機のイラスト

京急の直上高架方式は、1976年に完成した北品川 - 青物横丁の高架化工事で初めて採用された。このとき京急は独自に開発した直上高架施工機を用いて、夜間だけではなく日中も工事を進行した。これは建設業界の注目を集め、その後各地で直上高架工事が選択されるようになった。現在工事中である京急蒲田駅付近では、京急、東急建設、タダノが共同開発した最新式の直接高架施工機が活躍している。

新しい施工機は複線の線路をまたぐタイプで、線路脇に施工機用のレールを設置し、工事の進捗に合わせて施工機が移動する。現地でコンクリートを打設すると固まるまで時間がかかるため、コンクリート部分を工場であらかじめ作って現地で組み立てる「プレキャスト方式」を採用しているという。

『A列車で行こう9』を楽しむ推奨環境

直上高架方式も再現できる『A列車で行こう9』に必要なパソコンの性能は下の表の通り。フル3Dグラフィックであること、常に鉄道や建物の影響と街の成長を計算していることから、グラフィックカードやメモリの強化と合わせて、CPUも高いスペックにしておきたい。Core 2 Duo、Core 2 Quad、i3、i5、i7などが推奨だ。このゲームはマルチコアに対応しているため、PCを新規購入するなら2コアよりも4コアのほうがオススメである。

マルチコアプロセッサの稼働状況はタスクマネージャで確認できる

OS Windows 7 / Vista / XP(64bit版OSは未対応)
DirectX DirectX9.0c以上
CPU Core 2 Duo
メモリ [XP]1GB以上 [VISTA/7]2GB以上
HDD空容量 1.2GB以上
ビデオカード GeForce 6シリーズ以降、RADEON X1000シリーズ以降のビデオカード
VRAM 512MB以上
ディスプレイ 1024×768ピクセル以上
サウンド Direct Sound対応
入力機器 キーボードおよびホイール付マウス
その他 インストール時にDVD-ROMドライブ必須、インストール時にインターネット環境が必須