立ち食いそばは、当たり前のように駅前に多い。駅から遠ざかれば遠ざかるほど姿は見られなくなるが、逆に初めての駅でもすぐ見つけられるのは大きなメリットだ。駅近と言えば、やはり駅構内に勝るものはない。途中下車することなく立ち食いそば巡りができるなんて、いいことずくめ。今回のお店は、激戦区秋葉原において駅中に店を構える「新田毎」である。
コールから1分で着丼
場所はJR秋葉原駅、6番ホーム(総武線)。往来の多い、乗り換え連絡通路にある。外には、食品サンプルのディスプレイ。その脇にはオススメメニューなのだろうか、「ステーキカレー」とプリントされた黄色い看板が目立つ。入口を入ってすぐ左手に券売機がある。電子マネー決済対応なのは、さすが駅中店。「春菊天そば」(税込430円)を選んでみた。
座席は横に長く、着席カウンターが2列。立食カウンターが1列。20人くらいは入るんじゃないかと思う。厨房に食券を渡す。食券は「そば」と「うどん」で分かれていたが、「温・冷」は一緒になっていたので「あったかいので」とだけコールする。1分ほどですぐできあがり。
シンプル・イズ・ベスト!?
立ち食いの方はステンレス製のカウンター。冷たい、無機質な手触りが「そばを胃の中に放り込む」感を増幅させるが、それもまたよし。そこへ運んだのはこの丼。はみ出さんばかり、というか大胆にはみ出している特大の春菊天がインパクト大だ。
1分で出てくるそばだ。サクサク揚げたては求められない。しんなりした天ぷらで、かき揚げのように厚手の味わい。専門店のような上品な春菊の風味ではなく、ガツンと存在感のある春菊の味を感じられる。
麺、ツユはオーソドックス、というか普通……。よく言えばシンプルで飽きのこない味、悪く言えば印象に残らない味だ。「主役の引き立て役に完全にまわっているな」という、印象を受ける。
今日もまた、新しい経験をさせてもらったなと満足。ただ、これは一般ウケはしないかもなと思い、某口コミサイトを見てみたら、案の定それなりの評価。それはそれで良し。食通の物差しでは、立ち食いそばの良し悪しは測れぬ。
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。