今回紹介するのは、東京・渋谷駅併設の東急百貨店東横店西館2Fにある「本家しぶそば」である。JRで言えば、玉川改札を降りてすぐ左手にある。立地からも分かる通り、東急グループの店舗で、東急田園都市線を中心に複数の店舗を展開している。
ラー油とねぎの辛味が夏に効く
場所柄、どの時間に行っても空いていることはない。店頭にはサンプルによるディスプレー。資本のある店舗らしい演出だ。入り口入ってすぐ右手にレジ。こちらで先に注文とお会計を済ませる。今日は「冷やしピリ辛ねぎそば」(税込500円)を注文するやいなや、店員さんから奥の厨房に向かってコールがかかる。
レシートを受け取ったら、セルフの水をくんで、店内の適当な場所に陣取る。立ち食いスタンドテーブルあり、カウンター席あり、二人がけ用テーブルもあり。1分ほど待てば、自分の席までそばを運んできてくれる。誰にも場所を伝えていないのに不思議だ。奥でちゃんと見張っているスタッフがいるのだろうか? ちなみに、立ち食いそばでは常識の食器返却もこの店では不要である。
ラー油と絡んだ白ねぎが、少し太めのそばの上にどっさり。ラー油はもちろん、ねぎ本来の辛味も強い。苦手な人はご注意を。さらに、ここに細切りにされたハムが少し入っている。つゆはやや濃いめで、ボリュームにも不満はなし。後で知ったが、しぶそばの人気メニューのひとつのようで、暑い夏にピッタリの味だ。
チェーン内で最も高評価な店
立ち食いそばは、しばしば「駅そば」という名でも呼ばれる。多くの立ち食いそば店は、やはり駅前周辺だったり、ホームを含む駅構内だったりすることが多いからだ。立地による利便性とその業態の特徴を想像すれば、ごく自然なことだろうと思う。
駅構内の立ち食いそば店はその鉄道会社(路線)経営のチェーン店であることが多い。JR東日本の子会社・NREによる「あじさい茶屋」や「大江戸そば」、「そばいち」など、どこでも安定した味を楽しめるかわりに、旅(というほどではないにしても)の魅力に欠けることもあるだろう。
実際、しぶそばも現在11店舗あるようだが、某口コミサイトなどでは当渋谷店が最も好評。チェーン店と言えど、場所によって多少のブレが許容されるのが駅そばだったりするわけだ。
※記事中の情報は2016年7月取材時のもの
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。