塾が母体で、成績保障制度も
東京メトロ・月島駅から徒歩約10分。もんじゃで知られ、下町風情の残る月島とは反対側に位置する高層ビル群の中にある学童が、「ステラキッズ佃教室」だ。ホテルを彷彿とさせる広いロビー、テナントには会社や病院も入っている。エレベーターで3階に行き、絨毯敷きのフロアを少し歩くと、入り口が見えた。
足元に流れる川には船が浮かび、空を仰ぐと高層ビルが連なる、新旧が同居する町並みが特徴の佃 |
「ステラキッズ」のロゴ付き送迎車。1階のエントランスに到着すると、ロビーから1人でエレベーターに乗って学童に向かう |
「ステラキッズ」は、全国に約150教室を有する個別指導塾「数教研」を母体とし、学習に重点を置いた学童保育だ。塾としての役割も兼ね、なんと小学4年修了時には小学校の全内容を終えるカリキュラムを組んでいる。小学校を卒業する頃には中学2年の内容を終えられるというから驚きだ。しかも、学校の成績保障制度があり、国語と算数の成績が3段階中両科目とも2.5以下になると、翌月の基本料金が無料になる(※小学1年の4月から週3以上利用など諸条件あり)。
もちろん、学童としての役割も担う。送迎完備で、学校の校門、もしくは最寄りの駅まで送迎スタッフが迎えに行き、車や徒歩でビル1階のエントランスまで送り届けてくれる。帰りは基本が午後19時で延長は21時まで対応。自宅まで送ってくれるので、忙しい親にはありがたい。
教室に着いた子どもたちがまずやることは、自分のカードをバーコードリーダーに読み取らせること。その後、靴をしまってランドセルを開け、学校から配られた手紙を指導員に渡す様子は、自宅に帰ってきた子と親とのやり取りのようだ。佃教室には、近隣の小学校17校(2015年10月現在)の児童が通っているので、学校からの学年便りなどで時間割の変更や休みを確認し、お迎え時間の把握をしている。保護者にとっては、その都度学童に連絡する手間が省け、負担の軽減になっている。
BGMはモーツァルト!
勉強しやすい環境づくりにもこだわっている。子どもたちがリラックスできるようにとモーツァルトの楽曲がBGMとして流れる中、15時30分には揃って宿題に取り組む。5~6人掛けのテーブルが5台ほどあり、各テーブルの中央には鉛筆と消しゴムがたくさん入った入れ物が。必要なものだけがきちんと準備されており、集中力の妨げになるような余計なものは置かない。
スタッフは送迎をするドライバーとは別に、「指導員」と呼ばれる学童のスタッフが佃教室には3人。全員、小学校教諭免許に加え、上級救命技能の講習を受講しているので、勉強面、安全面ともに安心して子どもを預けられる。終えた宿題のチェックはもちろん、分からないところがあれば教えてくれる。
同施設は年長から小学6年までを対象としているが、実際に通っているのは小学1年~小学2年の低学年の児童が大半。それでも教室内は比較的静かで、走り回る子もいない。早めに宿題を終えた子たちは、静かに本を読んでいる。時には宿題中にちょっとふざけたり、ちょっかいを出し合ったりする子どももいるが、いったん集中力が切れても、周囲が宿題をしている環境だと子ども自身ですぐに切り替えて宿題に戻れるのだ。
まずは、宿題を必ず終わらせる。そして終わった順におやつの時間になるから、おやつもモチベーションになっているのかもしれない。公設の学童では、宿題までしっかり見て指導してくれるところはそれほど多くない。落ち着いた環境で宿題を終えられ、日々の学習習慣がつくのは子どもにとってもよいことだろう。
教室長の小林直記さんにステラキッズの最大の特徴をたずねると、「勉強は、こちらで責任を持ってみます。そのため、帰宅後は今日あったことなど親子でゆっくり話をする時間が持てる。そうしてほしいと望んでいます」と頼もしくも温かい返答が返ってきた。
おやつタイムを終え、まだ勉強の時間が続くかと思ったら、公園へ遊びにいくという。勉強だけじゃないのが学童なのだ。喜々とした様子に子どもらしい面が垣間見えた。ただ、部屋にいたい子に無理強いもしない。指導員3人中1人が残り、子どもへの対応や連絡係などを担当。取材日は、22名中13人が公園へ行った。
公園は、近隣の3つの公園をローテーションで回っているとのこと。夏休みなどの長期休みには植物園や博物館に行ったり、ANAの整備工場見学をしたり、プールにカヌー体験とイベントが目白押し。様々な体験をさせられるのも魅力だ。
次回の後編では、いよいよ同学童のアピールポイントでもある"塾タイム"の様子をレポートする。