日々の予定を完璧に立てて、毎日残り時間を把握しながら仕事しても、やる気が出ないときはやっぱり出ない。そんな怠け者の自分を少しでもマトモに動かすには、モチベーションのコントロールがカギとなる。今回は、セルの表示形式を応用するテクニックを紹介したい。

ちゃんとできた日はご褒美、後ろ倒しした日は罰を

スケジュールを立てるという行為は、今の自分が数時間後や数日後の自分に「ちゃんとやっとけよ」と、具体的なノルマを課すのと同じだ。つまり、実際に仕事をこなすのはその時の自分であって、予定を立てた時の自分ではない。

スケジューリングで一番やっかいなのは、その日その時の自分のモチベーションが予想できないことだ。特に僕は基本的に怠け者なので、締め切りなどの縛りがないとモチベーションは下降の一途を辿る。すぐに手が出せる娯楽があると、仕事そっちのけで遊んでしまうだろう。学生時代に卒論を保留して、睡眠10時間、テトリス14時間という1日を過ごしてしまったほどだ。それゆえに、オンラインゲームやギャンブルといった依存性のある娯楽は、恐くて今も手が出せない。

話がそれたが、要は将来の自分がキチンと動くためには、モチベーションを高める仕組みが必要なのだ。僕はTODO表に、しっかりと仕事した日にはアメ、怠けた日はムチを与えるルールを取り入れている。具体的には、「予定をすべてこなした日は、自由に使えるお金を50円追加」「前倒ししたら300円追加」「予定未消化の日は100円罰金」「対外的なミスを犯したら500円罰金」といったものだ。

さらに、適用したルールの数字を累積していき、毎日アイコン化して残すことで、週間予定表の過去を辿ればモチベーションの変化を把握できるようにしている。データを俯瞰していくうちに、僕はフルパワーを続けるのは2週間が限界で、1週間以上怠けると自己嫌悪に陥ることが判明。また、8割の力で作業していれば、1ヶ月以上は気持ちが折れないこともわかった。これらのデータを参考にすることで、ある程度モチべージョンの状態を予測した、より現実的な予定が立てられるようになるのだ。

なお、毎日の状態は1日の予定エリアの左右セルに貼り付け、アイコンと適用ルールの詳細は週間シートの最上段に置き、ウィンドウの上下分割により、常に表示できる状態にしている。たとえば、5月23日に予定を完遂した場合、まず上段の完遂アイコンの数値を更新し、そのコピーを5月23日エリアの左端に貼り付けるといった具合だ。

週間予定シートの上段と左右に配置した、モチベーション維持と向上のためのルール。累積アイコンの意味は、上から「当日の労働時間」「3時間前倒しした回数」「予定を完遂した日数」「予定を消化仕切れなかった(怠惰)な日数」「1日●万円を基本とした、原稿納品による稼ぎの累積」「反省すべきミスをおかした回数」「ジョギング回数」となる

右端にある「垂直スクロールバー」の上端にある「分割バー」を下方向にドラッグすれば、一枚のシートの表示領域を上下に分割して表示できる。「表示」リボンにある「ウィンドウ枠の固定」を選択すると、境界線が目立たなくなり、操作ミスで境界を動かしてしまうこともない

「98」と打ち込めば、自動で「●完遂●98」と表示される

さて、アイコンを作るにも、毎回「●完遂●97」「●完遂●98」と打ち込んでいくのは面倒だ。そこで便利なのが、セルの書式形式だ。

Excelには、入力した数値に単位を付けたり、表示する形式を自動で変換する機能がある。たとえば、初期設定では「5/25」と入力すると、日付に関する情報だと認識して「5月25日」と表示する。社内の経費申請用に作られたシートなら、金額を入力すると自動で「\1,000」と表示する設定にしている場合も多いはずだ。

これらの設定は「セルの書式設定」にある「表示形式」タブで変更できる。このうちの「ユーザー定義」という分類項目を利用すれば、オリジナルの単位や表示形式が作れるのだ。累積アイコンもこの機能を利用している。

表示形式を設定したいセルや選択エリアを右クリックして、メニュー内から「セルの書式設定」を選ぶと、「表示形式」タブが表示される。「分類」のうち、一番下にある「ユーザー定義」を使う

先の「●完遂●98」の表記の場合、上段の該当アイコンのセルをユーザー定義で「"●完遂●"0」と設定しているため、「98」と入力するだけでいい。半角のダブルクォーテーションマーク(" ")で挟んだ文字列は、全角や半角に関わらず「0」で表した数値の単位と認識されるのだ。また、数値を「0.0」などと設定することで、小数点以下の表示範囲を設定することもできる。

この機能を使った例を、累積アイコンの事例とともに列記する。

"★前倒日★"0 →「★前倒し日★34」「★前倒し日★35」…

"ジョギング"0"回" →「ジョギング24回」「ジョギング25回」…

"労働"00.00"h/日" →「労働18.00h/日」「労働12.50h/日」…

"消費 "0" kcal" →「消費 1000 kcal」「消費 15500 kcal」…

0"万"0000"円" →「1万2800円」「20万9800円」「4万0980円」…

「×怠惰」の単位設定。今までは「怠惰」の英訳のつもりで「×BOREDOM」という単位を採用していた。しかし、今回の記事に際してよく調べてみると、BOREDOMは「退屈」という意味の単語だったので、急遽変更。慣れない横文字で格好をつけると恥をかくというよい事例なので、皆さんも参考にしてほしい

実は、アイコンを数値データとして保存すると、もうひとつの大きなメリットが得られる。その詳細は次回お伝えしよう。