問題をおさらい!
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【答え】三菱自動車の「デボネアV」と「ギャラン」
メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスモデルにつけられる名称、AMG。それを名乗った日本車があったんです。
そもそもAMGというブランドは創業者の3人の頭文字、ハンス・ヴェルナー・アウフレヒトの「A」、エアハルト・メルヒャーの「M」、そしてアウフレヒトの故郷、グロース・アスパッハの「G」からとられたものです。
1967年にスタートしたAMGは、メルセデス・ベンツを使ったモータースポーツ活動を中心に成長。1971年のスパ・フランコルシャン24時間レースにおいて、「メルセデス・ベンツ 300 SEL 6.8 AMG」がクラス優勝を飾るなど名声を高めていきました。
そして1980年代末にはダイムラーベンツ社と協力関係を築き、メーカーのサポートを得ながらレース活動を継続。1990年にダイムラーベンツ社と協力協定を締結したことにより、AMGがレースで培った技術を投入したチューニングモデルが、メルセデス・ベンツのネットワークで購入できるようになります。
2005年1月1日にはダイムラークライスラー社がAMG株式の100%を取得。現在のAMGは、メルセデス・ベンツのカタログモデルの一員として輝きを放っています。
そんな歴史の中で、AMGは三菱自動車工業とタイアップを行ったことがありました。まだAMGが独自にレース活動を行っていた1980年代のことです。そこで誕生したのが、三菱のフラッグシップサルーン「デボネアV」をベースにした「デボネアV3000ロイヤルAMG」だったのです。その価格は410万円。ベースのロイヤルよりも100万円以上高い金額でした。
このクルマでは、オリジナルデザインをもとにAMGの技術力を注入。特に空力においては、前後バンパーやスポイラーを変更するとともに、フロントグリルにも手を加えることにより、ダイナミックさを強調しました。その目的はパーソナル性を高めること、つまり、ショーファーカーではなくドライバーズカーとしてのイメージを強調することでした。
続いて1989年には、「ギャラン」にもAMG仕様を追加します。こちらはセダンユーザーのライフスタイルの個性化や、価値観の多様化に対応するために設定したもので、デボネアよりも本格的にAMGと共同でのチューニングを実施しました。
内外装だけでなく、エンジンやサスペンションにも手が入りました。エンジンは145psから170psにパワーアップさせるとともに、ショックアブソーバーも変更。さらに、強化されたトランスミッションやブレーキなどを採用することで、まさにAMGならではの走りを追求したのです。
やはり価格も高く、ベースとなった2リッターエンジンを搭載したクルマより、およそ50万円から100万円(グレードの違い)プラスの280万円(5MT)でした。
冒頭にも記したように、今やAMGはメルセデス・ベンツの一員ですが、過去には日本メーカーと共同でスポーティーかつ個性あふれるクルマのチューニングにも関与していたのは興味深いですね。
それでは、次回をお楽しみに!