長年、半導体の技術開発の目安として活用されてきた「国際半導体技術ロードマップ(ITRS)」の活動は、役割を終えたとして米国半導体工業会(SIA)や日本の電子情報技術産業協会(JEITA)などのスポンサーが2016年3月までに手を引いてしまったために終焉を迎えた。しかし、米国に本拠を置く世界規模の電気電子工学学会「IEEE(電気電子技術者協会)」が、次世代コンピュータ開発のためのロードマップと目的を明確にしたうえで、ITRS活動を引き継いだのは既報のとおりだ。

2016年5月、IEEEは「International Roadmap for Devices and Systems(IRDS:国際デバイスおよびシステムロードマップ)」という名称の新たなコンピュータロードマップの策定作業を開始、約1年の歳月をかけて、2017年3月末、IRDSの議論を進めるための9件のホワイトペーパー(暫定版)を公開した。

9件のホワイトペーパーは、以下の章立てで構成されているが、いずれも未完成なうえに、3月末までに間に合わなかった未掲載の章もあり、後日追加掲載するとしている。

  • Application Benchmarking
  • More Moore(半導体の微細化)
  • Beyond CMOS(新規半導体デバイス)
  • Outside System Connectivity
  • Factory Integration
  • Metrology
  • Environment, Health, and Safety
  • Yield
  • System and Architecture(Preliminary))

なお、2017年4月5日時点で、「More Moore」のホワイトペーパーを除いては、いずれも数ページの構成でフレームワークや検討すべき課題などが示されたものに過ぎないほか、プロセス技術に関する内容については未発表となっている。

「More Moore」のホワイトペーパーに記載されたロジックデバイスのロードマップ