厚生労働省が2016年7月に発表した、2015年度の男性の育休取得率は「2.65%」。1996年度の統計開始以来、過去最高の数字となったようだが、男性の取得率を2020年度までに13%に引き上げるとしている政府目標にはまだ遠い、というのが実情だ。では実際、世界的に見ても男性が育児休業をとるのは珍しいのか、日本に住む外国人20人に聞いてみた。
母国でもめずらしい
・「トルコでも珍しいです。両国で増えるべき。共働きから旦那も育児に参加すればいい」(トルコ/30代後半/男性)
・「イタリアもまだ珍しいことだと思いますが、近年はどんどん増えていると思います。おそらく日本ではその傾向がまだまだ長く続くかと思います」(イタリア/30代前半/男性)
・「ウクライナでも父親が育児休業をとることは珍しい。日本でもウクライナでも、男女をより平等に扱ってほしい」(ウクライナ/30代前半/男性)
・「父親も育児休業をとるのは聞いたことはありません。日本でも珍しいことにびっくりしました。男性も育児に取り組むべきだと思います」(モロッコ/30代前半/男性)
・「エジプトでは女性が子供の面倒を見るのが当たり前で、男性の育休制度はありません」(エジプト/30代前半/男性)
・「インドネシアでも珍しい。母親がとるのは一般的だ。しかし、インドネシアは日本と違って、育児休暇から会社に復帰することは特に難しくはない」(インドネシア/30代前半/男性)
・「台湾でも珍しいです。残念とは思うが、しょうがないでも思う」(台湾/20代後半/男性)
・「韓国ではまだまだ稀。日本とほぼ同じだと思う。もっと増えるべき」(韓国/30代前半/女性)
・「ベトナムでも珍しい。ただ、父親か母親はどちらかひとりが育休を取得して、子供の世話をすることは普通だと思う」(ベトナム/30代前半/女性)
・「インドでは珍しいです。育休をとる父親を尊敬します」(インド/30代後半/女性)
・「キルギスにはまだそういう制度はないです。もし、父親が嫌じゃなかったらとるべきだと思います」(キルギス/30代前半/女性)
・「モンゴルでは、父親が育児休業をとることはないですが、帰宅後は手伝ってくれます。 日本では、育休を取得する父親の割合を増やした方が母親の家事や育児の負担が減ると思います」(モンゴル/40代前半/女性)
母国では当たり前
・「ドイツでは男性の育休は当たり前です。日本でも普及してほしいと思います」(ドイツ/40代後半/女性)
・「ポーランドでは当たり前です。とてもいいことです。日本でもっとその割合を増やせばいいと思います。不平等です」(ポーランド/40代前半/女性)
・「フランスでは当たり前です。ただ、日本はアジアの国だから、普通だと思う」(フランス/30代前半/女性)
母国ではこんな制度も
・「実家のカリフォルニアでは、父親が育児休業のために6週間まで有休を与えています。子供の育ちに父親も協力するべきだと思います」(アメリカ/20代後半/男性)
・「ブラジルでは、子供がうまれた日から5日間の育休は労働法で労働者の権利だと定められている。そういった権利をもっていない人でも、2~3日間ぐらいの育休をとるも当たり前です」(ブラジル/40代前半/男性)
・「ロシアではお父さんの育児休業がないのに対して、お母さんは赤ちゃんがうまれてから2年間の有給休暇をとることができます。それに、2歳になったら簡単に幼稚園に預けることができます。日本にもお父さんの休暇より、安い幼稚園を設置した方がいいです」(ロシア/30代前半/女性)
そのほか
・「タイでは女性にも男性にも育休がない。ほとんど知り合いや祖父祖母に面倒を見てもらう」(タイ/30代前半/女性)
・「母国での制度が全く分かりませんが、育休を取得する父親の割合が2%ほどとなっているのは、少ないと思います」(ギリシャ/30代後半/男性)
総評
今回の意見では、世界的に見ても男性の育休取得は平準化されていない国・地域が多いようだった。ただ、「男女をより平等に扱ってほしい」「男性も育児に取り組むべき」「もっと増えるべき」という、現状からの変化を求める声は多いようだ。また、「育児休暇から会社に復帰することは特に難しくはない」(インドネシア)というような、安心して復帰できるかどうかという環境づくりも大切と言えそうだ。
その中で、母国では男性の育休取得は当たり前と答えたのは欧州出身者だった。例えば、子育て先進国として知られるスウェーデンの場合、480日間の育休期間において90日間は父親しか取得できないという「パパ・クオータ制度」を設けているなど、男女ともに育児に参画することを政府としてプッシュする環境が整っていると言えるだろう。
そのほか、「日本にもお父さんの休暇より、安い幼稚園を設置した方がいい」(ロシア)というような子育てがしやすい環境整備の必要性をあげるコメントもあった。安心して子育てができる社会にするためにも、制度という強制力で変えていくことも必要のように感じられた。
調査時期: 2017年1月23日~2017年2月28日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20人
調査方法: インターネット応募式アンケート
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