BPO(放送倫理・番組向上機構)の青少年委員会は21日、TBS系バラエティ特番『オール芸人お笑い謝肉祭 '16秋』(10月9日放送)についての見解を公表。性意識に対する嫌悪感や、子供への悪影響を懸念する視聴者に「謙虚に耳を傾けるべき」との考えを示した。

BPOの事務局が入る千代田放送会館=東京・紀尾井町

同委員会は、同番組内での、温泉場で男性芸人の股間に"ヒリヒリする薬"を塗るシーンや、ローションを塗った大型の階段セットで芸人が下半身を露出したり、全裸で階段を昇り降りしたりしたシーンに対し、「社会的受容の範囲を逸脱しているのではないか」「性に対する扱いが不適切」との意見が出たことから、審議入りを決定。TBS側と書面でのやり取りや意見交換を行った上で、21日に「委員会の考え」を公表した。

それによると、「現代社会はジェンダーについての意識やセクシャルハラスメントに対する理解が深まり、とくに近年は性的少数者の社会的受容という性意識の変化が見られるようになりました」という現状を踏まえ、「テレビ局はこうした動向を鋭敏に感知する必要があり、特定の場面に嫌悪感を表し、また、子どもに悪影響を与えると懸念する視聴者に対しても謙虚に耳を傾けるべき」としている。

TBSは、同委への回答書で、「バラエティ番組における下ネタの大前提は、社会に受容される範囲を越えて社会通念から逸脱すれば、視聴者に不快感を与え」るとの考えを提示。「社会に受容される範囲」の線引きするのは困難としたものの、今回問題となった2つのシーンについては、「社会に理解される範囲を逸脱し、多くの視聴者に受容されない内容であった」と反省した。

これを受け、同委はTBSに対し、「問題の所在を直截に捉えて、真摯に対応していただきました」と評価。テレビやラジオの番組制作者に対して、「視聴者が心を解放して明日への活力につながる爽やかな笑いに包まれるよう、より神経を研ぎ澄まして、真にチャレンジングなバラエティー番組を作っていただくことを期待します」とエールを送っている。