ファナックとNVIDIAは10月5日、同日NVIDIAが開催したGPUに関する技術カンファレンス「GPU Technology Conference Japan 201(GTC Japan 2016)」において、工場内のロボットを連携させ、製造・生産の最適化に向けたアナリティクスを提供するファナックのプラットフォーム「FANUC Intelligent Edge Link and Drive (FIELD) system」における人工知能(AI)の実装に関する協業を開始することを明らかにした。

基調講演で登壇したファナックの取締役専務執行役員 ロボット事業本部長である稲葉清典氏は、「顧客の要求がどのように変化していくかわからない時代において、注文内容が変われば、ロボットの挙動を変更する必要がある。しかし、ロボットの台数が増えれば、その負担は増えていくことになる。もし、ロボットが柔軟に対応できる能力を持つことができれば、そうした細かなニーズに対しても迅速に対応することができるようになる」と、工業ロボットのAI化に対する期待を述べたほか、「処理する情報量が増えれば、演算能力も必要になってくる。一方で、工場ではミリ秒単位での処理性能も必要であり、互いのロボットやデバイスが瞬時にセンシングと通信を実現することを可能とする並列コンピューティングが重要となってくる。将来、応答速度が十分に速くなったら、人間の隣で、垣根なしにロボットが作業する、そんな時代がくるかも知れない」と、AI化によってもたらされる未来の工場のイメージを披露した。

また、こうして得られた知見についてはあらゆる製造分野に展開できることが期待されるため、AI化は、そうしたさまざまな製造業のニーズへの対応を可能にすることも期待できるとした。

左がGTC Japan 2016で登壇したファナックの取締役専務執行役員 ロボット事業本部長である稲葉清典氏、右がNVIDIA CEOのJen-Hsun Huang氏。後ろのスライドは、FANUC AIのブレイン(ディープラーニングのニューラルネットワークの構築)→推論用GPU→全マシンの運用GPU(インテリジェントデバイス)→学習用GPU→FANUC AIのブレインといったFIELD system向けディープラーニングのサイクル図