エプソンは9月29日、スマートグラス「MOVERIO」(モベリオ)シリーズの第3世代となる「BT-300」を発表した。従来機より20%の軽量化、高画質化などを実現した。発売日は11月30日。価格はオープンで、推定市場価格は8万円台前半(税別)。同社ダイレクトショップ価格は83,280円(税別)だ。
BT-300は、光学エンジンに同社独自の0.43型超小型高精細カラーのシリコンOLED(有機EL)によるマイクロディスプレイ技術を採用。これにより、小型・軽量化だけでなく、高輝度、高コントラスト、高解像度、高画質化など、全体的なブラッシュアップが図られている。
特に、輝度が高くり、色域も広がったことで、色再現もリアルさが増した。従来機種では実現していなかった「スクリーンの表示枠が目立たない映像表現」が可能となり、視野の中に映像がフレームレスで自然に浮かび上がるようなAR(拡張現実)表現ができるようになった。
製品はヘッドセット、ケーブル、シェード、バッテリー内蔵コントローラー(リモコン)から構成される。利用時はヘッドセットを頭に装着し、ワイヤードでつながったコントローラーから操作。OSにはAndroid 5.1を採用している。
ヘッドセット重量は前モデルの「BT-200」が約88gであったのに対し、約69gに軽量化。デザインのスリム化が図られ、装着部のツル形状を見直して安定性も向上させた。メガネ使用者のためにメガネ専用鼻パッドが付属し、メガネをかけたままでも装着できる。対応するメガネ幅は約147mm。コントローラーは新たに十字キーを搭載した。
映像はシースルーで表示され、両眼で見る。このあたりの基本的な利用スタイルは前モデルと変わらない。Wi-Fiでインターネットに接続して「楽天SHOWTIME」や「YouTube」などの有料・無料動画配信サービスが利用できるほか、スマートフォンやタブレットのコンテンツをミラーリングしたり、ホームネットワーク上のHDDレコーダーに録画した番組も宅内や宅外を問わず視聴可能。ポータブルDVDドライブと無線接続してDVDコンテンツを楽しむこともできる。
このほか、ドローンの「Phantom」シリーズや、アクションカム「Osmo」シリーズを手がけるDJIと提携。「MOVERIO Apps Market」で提供するアプリ「DJI GO」を使用して、PhantomやOsmo等のカメラで撮影した映像がリアルタイムで確認できる。
航空法の改正により、ドローンは機体を操縦者が目視できる環境でなければ飛ばせなくなり、モニターとドローンの両方を目で追うのが難しくなった。BT-300を使用すれば、ドローンの機体を目視で監視しながら、同時にドローンの空撮映像を視野に入れられるため、より感覚的な操縦で空撮可能だ。
また、専用アプリ「THETA(Device Web API Plug-in)」を使用することで、全天球カメラ「RICOH THETA」と連携した360°コンテンツの撮影や視聴、ライブビューも行える。
本体サイズはヘッドセットが191×178×25mm(シェード除く)、コントローラーが56×116×23mm(突起部除く)。質量はヘッドセットが69g(シェード除く)、コントローラーが129g。カメラは500万画素。センサーとしてGPS、照度センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサーなどを搭載。
内部メモリは2GBのメインメモリと、16GBのユーザーメモリ(ストレージ)を搭載。外部メモリとしてmicroSD(最大2GB)、maicroSDHC(最大32GB)が利用可能だ。Wi-FiはIEEE802.11a/b/g/n/acに準拠し、Miracast(Source/Sink)に対応する。電源には2950mAhのリチウムポリマーバッテリーを採用し、バッテリー駆動時間は約6時間、充電用のACアダプタとキャリングケースが付属する。
BT-300と同時に、商用モデル「BT-350」および業務用モデル「BT-2200」も発表した。BT-350は、BT-300をベースに堅牢性の向上や装着性の最適化、操作性と運用面の機能強化を図ったモデルだ。防水にも対応する。BT-2200はヘルメットへの装着を考慮し、ディスプレイ部を片手で上にはねあげられる構造などを採用した。BT-350とBT-2200の発売日は2017年2月の予定。価格はオープンで市場想定価格は未定となっている。