公開初日を迎えた『仮面ライダー』誕生45周年記念映画『仮面ライダー1号』の初日舞台あいさつが26日、都内・丸の内東映にて行われ、主演の仮面ライダー1号/本郷猛役・藤岡弘、ほか主要キャスト陣と金田治監督が登壇した。
本作は、1971年に放送が開始された特撮TVドラマ『仮面ライダー』で本郷猛役を演じた藤岡弘、が、45年ぶりに再び「主演」を務める作品として、今年1月の発表以来多くの仮面ライダーファンの間で話題を呼んでいた。現役ライダーを助けに来るゲストとしてやってくるのではない、「45年目の本郷猛」を真正面からストレートに描いた映画である。
『仮面ライダー』でアクション派俳優として注目され、その後は渋味、野性味のある大人の俳優へと成長していった藤岡にとっても「原点」というべき仮面ライダー/本郷猛役は大切な存在。藤岡は企画段階から参加してアイデアを練り上げ、自身がこれまでボランティア活動などで世界各国を回ったことで痛感した「命の尊さ」「生きる大切さ」を映画のテーマとした。映画の完成後は自ら日本各地へ赴いたりテレビ出演をしたりと、ファンに熱いメッセージを伝え、宣伝活動に邁進した。
より戦闘的でパワフルに変化したスタイルとなった仮面ライダー1号/本郷猛を演じた藤岡は「45年を経て、再び主演として本郷猛を演じられるのは驚き」としみじみ語った後、「今年は自分にとっても芸能生活50周年という節目の年。誕生から45年という『仮面ライダー』出演当時を思い出しながら、長い歴史を背負ってきたスタッフ、キャスト諸氏と、ファンのみなさんへの感謝の気持ちでいっぱい」と、『仮面ライダー』の45年という歴史の重みを実感した。
本作での本郷猛は、武道家としても活動する現在の藤岡弘、の姿がそのまま投影されている印象。そんな藤岡が「未来を担う子どもたちに、愛と夢と希望のメッセージを贈りたい」と全身全霊を込めて作った映画だけに、恐ろしいまでの熱気に包まれた作品に仕上がっている。藤岡は「仮面ライダーへの思いが強いスタッフ、キャストに囲まれ、寒い中の撮影だったが現場は熱かった」と、映画に参加した者すべてを讃えた。「ヒーローの条件とは?」という問いに対しては「己の身を捨ててでも、人々を守るために戦う。見返りも何もない、自己犠牲の精神による無償の愛。これを行うことのできる者こそヒーロー」と、さすがの貫録でヒーロー論を語った。
現在テレビ朝日系で放送中の『仮面ライダーゴースト』チームからは、まず仮面ライダーゴースト/天空寺タケル役の西銘駿があいさつ。「自分にとってヒーローとは何か?」の質問に対して「僕にとって仮面ライダーは永遠のヒーロー。藤岡さんの演じる本郷猛が45年間も愛されているように、自分の演じるゴーストもいつまでも愛される永遠のヒーローになりたい」と爽やかに答えた。
仮面ライダースペクター/深海マコトを演じる山本涼介は、「ヒーローとして気をつけていることは?」との質問に答えて、「仮面ライダーの名に恥じぬよう、あらためて人としてのマナーを守り、『横断歩道を渡る』みたいに日常的なことから気をつけるようにしています」と、にこやかに話した。
映画では『ゴースト』のレギュラー陣も大活躍。月村アカリ役・大沢ひかるは、「もしも変身できるなら何になる?」という問いに、「変身するなら、司令塔として動く頭脳系のヒーローになりたい」と笑顔でリクエスト。知的な理系女子というキャラに合わせた粋な返答を行った。
大天空寺の住職代理で、オーバーアクションと顔芸で作品世界にコミカルな空気を与える重要な存在・御成を演じる柳喬之は、「もし変身できたら?」の問いに答えて「仮面ライダー史上初となる『坊さんライダー』になりたい! 移動はスクーターで、お布施の額ひとつでいかようにも強くなるという」と、劇中と同じくハイテンション気味に構想を話し、会場からの笑いを誘った。
映画のゲストヒロイン・立花麻由を演じた岡本夏美は、「もしヒーローになれるなら?」という問いに対して「映画でも少々アクションシーンがあり、楽しかったので、変身できるのなら女性ライダーになってアクションをガンガンやってみたい。映画では長澤(奈央)さんのアクションがとてもカッコよかったです」と答え、現役女子高生ならではの快活さを見せていた。
45年前から世界征服の野望を抱いて暗躍していた悪の秘密結社ショッカーを見限り、日本経済を牛耳ろうとする新組織「ノバショッカー」を立ち上げたウルガ役・阿部力は、自分にとってのヒーローを聞かれると「出身地である中国の黒竜江省で一緒に暮らしていた祖父」と答え、冬になるとスケートリンクやソリなどを手製で用意してくれたことを懐かしそうに回想した。
ノバショッカーの幹部で唯一怪人に変身せず、人間態のままライダーと戦う女戦士・イーグラを演じた長澤奈央は、劇中ではサーベルを用いたダイナミックなアクションを披露。自分にとってのヒーローを聞かれると、「常に自分を支えてくれたり見守ったりしてくれる両親」と笑顔で答えた。
ノバショッカー幹部・バッファルを演じた元キックボクサーの経歴を持つ武田幸三は「女手ひとつで自分を育ててくれた母親」こそが自分のヒーローだと語った後、「もちろん仮面ライダーも憧れのヒーロー。自分は『仮面ライダーV3』(1973年)世代です。後楽園ゆうえんちの仮面ライダーショーにもよく連れていってもらいました」と幼少時を懐かしんだ。
JAE(ジャパンアクションエンタープライズ)の代表を務め、テレビの『仮面ライダー』シリーズでも多くのエピソードを演出してきた金田治監督は「45年前、藤岡さんが仮面ライダー/本郷猛を演じていた時、僕はスタントマンとしてこの世界に入ったばかりの若手でした。あれから45年、藤岡さんが主演する仮面ライダー1号の映画を監督することができるというのは、とてもありがたく、感無量です」と、かつてのヒーローを現代によみがえらせる大役を見事に成し遂げた思いを静かに語った。
舞台あいさつの最後には、大先輩である藤岡との共演でヒーローとしての姿勢や演技について、多くのことを学んだという西銘が、藤岡に感謝の意を伝える場面も見られた。若き後輩ライダーからのうれしい言葉を受け、満面の笑みをたたえた藤岡は西銘とガッチリ握手し、「これから未来を作っていく子どもたちに夢と希望を伝えたい。感動や夢を与えるのは映像表現の原点。若く新しいエネルギーを持つ俳優たちに、映像界の未来を背負っていってほしい」と、西銘に強く、熱く、濃厚なエールを贈った。
さらに、藤岡の言葉の通りに未来を担う2人の男の子(いずれも4歳)が西銘と岡本に導かれてステージへ上り、藤岡に「かめんらいだー、ありがとう!」と花束を贈呈。あまりにもかわいいプレゼンターの登場に、大の子ども好きで知られる藤岡は感激し「純真な子どもの目の輝きは素晴らしいですね。いやあ、こんな小さな子が仮面ライダーを愛し、未来を目指してくれるってのはうれしいねぇ。ありがとう!」とコメントした。