女優の多部未華子が、初共演の倍賞美津子と"二人一役"を務める映画『あやしい彼女』(4月1日公開)で演じる大鳥節子の歌唱シーンを収めた映像が9日、公開された。
本作の主人公は、73歳の老婦人・瀬山カツ(倍賞)。シングルマザーとして望むような人生を送れなかったある日、娘とケンカし、家出した先で目にした写真館に引き寄せられる。店を出ると、そこには20歳に戻った美しい自分(多部)の姿が。若者に戻り、名前を節子と変えたカツが歌手の夢を取り戻し、人生をやり直す様を描く。
笑いや人間ドラマと共に、本作で重要なものとして位置づけられているのは、音楽。劇中では、「見上げてごらん夜の星を」などの60年代の名曲が多く登場し、全ての楽曲を多部が熱唱している。
多部が本作の主演に抜てきされた理由の1つは、水田伸生監督がたまたま観劇した舞台『キレイ~神様と待ち合わせした女~2014』でその生歌を聴き、「彼女ならいける」と太鼓判を押したからだという。しかし、当の多部自身は歌に対して大きな苦手意識を持っていたため、撮影前にスケジュールを練って、3カ月の音楽特訓を敢行。その成果も実り、劇中楽曲のアレンジを手掛けた音楽プロデューサーの小林武史氏に「まるで別人のよう」と評されるまでに成長。要潤をはじめ、共演者からも絶賛を受けた。
公開された映像は、バンド「怪しい彼女」がネットで話題になったことで、初めて人気音楽番組への出演が決まり、ザ・フォーク・クルセイダーズのカバー「悲しくてやりきれない」を披露するシーン。ムードのあるスタジオで、自身の長い人生を重ね合わせながら歌う節子の姿が捉えられており、その透き通った歌声は、ゆるやかなバンドサウンドの中でもよく響き、歌詞も相まってセンチメンタルな感情を際立たせている。
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