住信SBIネット銀行はこのたび、12月より野村総合研究所(以下NRI)の協力を得て、ブロックチェーン技術(※1)を活用した将来の基幹・業務システム構築を目的とした実証実験を行うと発表した。
(※1)「信頼できる第三者」を介在させずに参加者相互による分散型の合意形成を実現し、すべての取引の監査証跡管理を可能にする技術。ブロックチェーンで用いられている数学的暗号技術は「改ざんが非常に困難」「実在証明が可能」「一意の価値移転が可能」といった特徴を備えている。これらの特徴から、ブロックチェーンは暗号通貨にとどまらず、様々な資産の取引の流通基盤としての活用が期待されている。さらに、一般的な契約の記述・保管、および契約の自動執行といった用途での利用可能性も注目されている。
ブロックチェーン技術は有望なテクノロジーとして世界的に注目を集めている
昨今、金融業界では「FinTech(金融とテクノロジーの融合)」という概念が注目されているが、なかでもブロックチェーン技術は有望なテクノロジーとして世界的に注目を集めているという。
住信SBIネット銀行によると「ネット専業銀行として培った経験・ノウハウを生かして、金融分野のシステム構築に多くの実績を有するNRIの協力のもと、銀行業務へのブロックチェーン技術の活用にむけた実証実験に取組む」としている。
実証実験ではブロックチェーン技術を活用し、基幹システムや業務システムへの適用に向けた検証事項の洗い出しと、検証用プロトタイプシステムを構築し、銀行業務への適用における成果や課題を検証することで、ブロックチェーン適用シーンの具体化に取組むという。なお、ブロックチェーン技術の実装は、ブロックチェーンのコア技術の開発において知見を有するDragonfly Fintech社(※2)が行うことを予定している。
(※2)独自アルゴリズムに基づきゼロベースで構築したブロックチェーン「NEM」のコア開発者である武宮誠氏をCEOとして8月に設立された会社。B2B分野における海外送金をおこなう独自ソリューションで「DragonflyPay」等の開発・提供をおこなっている。「NEM」は日本初のプライベート・ブロックチェーンプラットホームとして開発された「Mijin」(テックビューロ社)のベースともなっている。このたびのブロックチェーンの実装に際しては、パブリック・ブロックチェーンである「NEM」とプライベート・ブロックチェーンである「Mijin」を併用した評価・実証を想定している。
住信SBIネット銀行は、最先端のIT(情報技術)を駆使して、金融業における近未来領域の開拓と、革新的な事業モデルの追求につとめていくという。また、顧客に常に利用してもらえる「あなたのレギュラーバンク」を目指して、更なる利便性の向上と社会の発展に寄与する新しい価値の創造につとめていくとしている。