人民元、IMFのSDR入り?
国際通貨基金(IMF)は、11月中にも特別引出権(SDR)と呼ばれる準備資産に中国の人民元を採用する方向で最終調整に入りました。
SDRは現在、米ドル、ユーロ、英ポンド、円の4通貨で構成されています。人民元がSDRの構成通貨になれば、IMFが人民元を国際通貨と認めたことになります。
特別引出権(SDR)って何?
特別引出権(SDR)は、国際通貨基金(IMF)が出資比率に応じて加盟国に配分する国際準備資産です。
実際に市場で流通しているわけではなく、その価値は、米ドル、ユーロ、英ポンド、円の4通貨の通貨バスケットで決まります。
加盟国は、IMFへの出資金に応じてSDRの配分を受け、貿易の支払いなどに使う外貨が不足した場合、外貨に余裕がある加盟国にSDRを売って、引き換えに外貨を受取ることができます。2008年のリーマン・ショック後には、加盟国の外貨準備高を補完するうえで重要な役割を果たしました。
通貨バスケットの構成は、通常5年毎にIMF理事会で見直しが行われます。今年はその年にあたるため、中国にとっては逃したくないチャンスなのです。
「国際通貨」になるか?
世界第2位の経済大国となった中国ですが、人民元はどのくらい取引に使われているのでしょうか?
SWIFT(国際銀行間通信協会)の発表によると、8月の通貨別決済シェアで、人民元は初めて円を上回りました。人民元は、米ドル、ユーロ、英ポンドに次いで4位となり、2014年1月の7位から躍進しています。
人民元がSDR入りすれば、外貨準備として人民元の保有を積み増す国が増える可能性があります。人民元の国際化を目指す中国にとって大きな意味を持つだけでなく、今後の世界経済を見ていく上でも要注目です!
●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ボンジュール」からの転載です。