デルタ航空は米国東部時間9月9日、ボーイング747-400型1号機(登録番号N661US、機体番号6301)がホノルル発アトランタ行きのラストフライトを終え、引退したことを発表した。引退した6301号機は2016年初頭より、アトランタのデルタ航空本社内にある「デルタ航空博物館」に展示される予定となっている。

ボーイング747-400のデリバリー時の式典

6301号機は、ノースウエスト航空機として1989年に初めて運航された。2008年のデルタ航空との合併後も運航を続け、東京、名古屋、大阪、ホノルル、ソウル、マニラ、アムステルダム、テルアビブなど、多くの長距離路線で活躍していた。引退まで26年間の歴史の中で、地球と月を250往復する距離に相当する6,100万マイル(約9,800万km)を飛んだことになる。

ホノルル発アトランタ着DL836便でのラストフライトの様子

「空の女王」として知られるボーイング747型機(通称ジャンボ機)は、世界でもっとも人気のある航空機のひとつ。約45年前に登場した当時、そのうち超音速機に空の主役の座を取って代わられるという評論家の声もあったものの、4つのエンジンを備え、長い航続距離と座席数の多さ、スペースの広さを誇るジャンボは、長きにわたり世界の空で活躍することとなった。

その進化型であるB747-400型機は「ハイテクジャンボ」と呼ばれ、グラスコックピット、尾翼燃料タンク、高性能エンジン、新しいインテリアを備え、それまでの通称「クラシックジャンボ」とは一線を画す航空機として愛されてきた。

デルタ航空のB747型機チーフ・パイロットを務めるスティーブ・ハンロン機長は、「B747-400はパイロットの間で"くじら"の愛称で呼ばれていました。くじらのように大きな体をしているのに驚くほど操縦しやすく、速い。400人近いお客様を乗せて音速の0.86倍の速さで飛行することができる素晴らしい飛行機です」とコメントしている。

現在、デルタ航空では機材の刷新を進めており、運航中のB747-400型機材、計12機を2017年までに全て引退させる予定となっている。

2016年初頭には同機の展示を予定しているデルタ航空博物館は、米国ジョージア州アトランタの本社屋に隣接し、6万8,000平方フィートの広さを有する航空博物館。85年以上にわたるデルタ航空の歴史と民間航空産業の発展の軌跡を、航空機やユニフォームなどの展示を通して紹介している。

常設展示には、1929年のデルタ航空初の旅客便に使用された航空機に近い型のトラベルエアー6Bセダン機、1982年に従業員が資金を出して会社のために購入したボーイング767型機「スピリット・オブ・デルタ」、デルタ航空便として空を飛び、従業員とボランティアによる修復作業を終えたDC-3型機など、歴史的な5機の航空機が含まれている。

また、ボーイング737-200型機のフルモーション・シミュレーターの体験コーナーがあり、操縦体験を楽しむこともできる。詳細はホームページを参照。