JR東海は27日、東海道新幹線の軌道のうち、構造が特殊なために脱線防止ガードの敷設ができなかった区間に敷設を可能にする技術を開発したと発表した。

脱線防止ガード敷設イメージ。無道床橋りょう部(写真左)と伸縮継目部(同右)

同社は2009年から、脱線時の被害拡大のおそれが大きい区間(軌道延長596km)での脱線・逸脱防止対策に取り組んでおり、レールの内側に取り付けることで地震発生時の脱線を防ぐ「脱線防止ガード」の敷設もその一環とされる。ただし、バラスト(砕石)がなく、レールや枕木を橋桁で支える構造の「無道床橋りょう」の区間は、地震発生時に一部分に負荷が集中するため強度の確保が課題となり、これまで設置が進んでいなかった。

今回、脱線防止ガードを固定できる専用の枕木を1本おきに設置するとともに、枕木の端部に連結板を設置することで強度を確保し、この課題を解決。同様に2本のレールが重なって幅を取るために脱線防止ガードを設置するスペースがない伸縮継目部についても、脱線防止ガード固定部材とレール固定部材を一体化した新たな部品を考案することで課題をクリアした。これらの新技術により、これまで手付かずだった区間(延長27.5km)でも脱線防止ガードを敷設できるようになったという。今後、2020年3月の完了をめざして敷設工事を進める。