Ciscoは11日(米国時間)、ビデオコーデックを開発するプロジェクト「Thor」を公表した。特許問題が障害になる恐れがなく、オープンソースソフトウエアでも採用されるような次世代ビデオコーデックの実現を目指す。プロジェクトにはH.264までのビデオコーデックの規格化に貢献したGisle Bjøntegaard氏やArild Fuldseth氏が参加し、技術特許専門の法律家およびコンサルタントも招いている。

次世代のビデオコーデックとしてはH.264の後継であるH.265と、GoogleのVP9が台頭し始めているが、H.265にはすでに2つの特許ライセンスプールが存在する。CiscoのJonathan Rosenberg氏によると、このままではH.265のライセンス費用はH.264の最大16倍に膨らむ。VP9に関してはGoogle主導の影響を懸念する声がある。

プロジェクトThorは2週間前にコミュニティリリースを済ませており、オープンソースソフトウエアとしてhttp://thor-codec.orgにおいてコードを公開している。NetVCワークグループでロイヤルティフリーの次世代コーデックの規格化を進めるIETF(Internet Engineering Task Force)には、Xiph.Org FoundationとMozillaもDaalaを申請しており、「同じ目標に向けて、より多くのテクノロジーが貢献するほどに成功のチャンスは高まる」とRosenberg氏はコメントしている。