日本IBMは7月15日、IoT事業に関する説明会を開催し、新しく設立したIoT専門チーム「IoT事業開発推進室」の概要を発表した。

同日より本格的に始動したというIoT事業開発推進室は、IoTの世界において、IBMが日本以外で培ってきた知見を日本のマーケットにフィードバックして、国内の顧客がIoTを強みとできるような取り組みを推進すること、ならびに日本の顧客の先進的かつ競争優位性の高いサービス・ソリューションをグローバルに打ち出していく活動を推進することをミッションとする。そうした活動を支えるために、ビッグデータの情報管理やコンサルティングで培ってきた知見や、研究開発部門の先進技術を組織横断的に束ねる役割を担うという。

「IoT事業開発推進室」は組織横断的に研究開発やコンサルティングの知見を束ねる役割を担う

また、IoTがキーワードとして盛り上がりを見せている一方で、企業によって定義や位置づけがバラついている現状を踏まえ、IoT事業開発推進室ではIoTという領域を「狭義のIoT」と「広義のIoT」に分けて考えて事業を展開していく。

IoT事業開発推進室長の村澤賢一氏

まず、「狭義のIoT」について同推進室長の村澤賢一氏は「『狭義のIoT』とは製造業における生産設備の保全・保守を強化していくという世界。」と説明する。具体的には、「日本の製造業の強みである品質を支えているのは現場の熟練工。そうした技術の伝承は難しいが、『狭義のIoT』を突き詰めることで、こうした強みをIoTによって企業として伝承していく」(村澤氏)ことなどをイメージしているという。これに対し「広義のIoT」は例えばコネクテッドカーなど、人とモノがつながる領域を指し、同氏はこれを「企業の活動と実際のサービスの受益者の行動がつながっていく世界づくり」と表現する。

今年度は「狭義のIoT」に注力していくとのことで、製造業に向けてIoTをスムーズに運用するために必要なプラットフォーム作りを進めていき、以後ヘルスケア、流通、保険などの分野に向けたソリューションを提供していくとしている。

IoTを「狭義」と「広義」に分けてソリューションとサービスを展開する

今年度は製造業に向けたサービスに注力する