トヨタ自動車はこのほど、低燃費と力強い加速をもたらす動力性能、高い静粛性を実現させた2.8リットル直噴ターボディーゼルエンジン「1GD-FTV」を新開発したと発表した。世界トップレベルの最大熱効率44%を達成しており、従来型の「KDエンジン」と比べて燃費が最大15%向上している。

2.8リットル直噴ターボディーゼルエンジン「1GD-FTV」

このエンジンは、次世代高断熱ディーゼル燃焼を採用することで、気温マイナス40度以下の極寒地域や海抜4,500mを超える地域でも高熱効率で力強い走りを実現した。次世代高断熱ディーゼル燃焼は、空気の入りやすいポート形状、新開発のピストン燃焼室形状、噴射圧をさらに高圧化・高制御化したコモンレール式燃料噴射システム、世界初のTSWIN(Thermo Swing Wall Insulation Technology)などにより構成されている。

TSWINは、断熱性および放熱性の高いシリカ強化多孔質陽極酸化膜をピストン頂部にコーティングすることで、燃焼時の冷却損失を最大約30%低減させる技術。これにより、同エンジンの熱効率は世界トップレベルの44%を達成しており、燃費に加え発進トルクや加速レスポンスなどの大幅な向上も実現している。

また、トヨタ内製の小型高効率可変ジオメトリーターボチャージャーも装備している。従来型より約30%ダウンサイズしながらタービン効率の向上を図るとともに、新開発インペラの採用により、アクセル操作に対するレスポンスと、幅広い回転域での最大トルクの発生を実現した。

こうした最新技術により、同エンジンはダウンサイズしながら最大トルクは25%、低速トルクは11%向上している。トヨタ初となる尿素SCRシステムの採用などにより、世界で最も厳しい排出ガス規制である欧州EURO6および平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制などに対応する。

トヨタでは、現在グローバル展開している従来型の「KDエンジン」を、2016年までに年間70万基規模、約90の国・地域で新型「GDエンジン」に刷新する予定(2.4リットル直噴ターボディーゼルエンジン「2GD-FTV」を含む)。「GDエンジン」は6月17日に一部改良した「ランドクルーザープラド」にも搭載されている。