「ぎをいう」「ぐらしか」「はめっくい」。この意味がすぐに分かる人には拍手を送りたい。そんな宮崎県の西諸(にしもろ)地域で使われている方言「西諸弁」の魅力を郷愁とともに笑い誘うポスターにして伝える、「西諸弁ポスター」展が3月27日~4月12日に開催される。場所はというと宮崎県小林市の「のじりこぴあメロンドーム」。「なかなかそこまで行けないなぁ……」という人のために、特に印象的なポスターたちを紹介しよう。

その意味が分かると、もう「ぐらしか」にしか見えなくなる……

地元民も笑えるポスター

小林市では現在、地方創生に向けた取り組みのひとつとして、市民や出身者らの協力を得ながら、西諸弁にまつわるポスターを制作している。写真やネタを募集し、送られてきたものを基に市役所の担当課でポスターを作成。Facebookを中心にデータで公開している。3月20日現在で、計45枚のポスターが公開されている。

西諸弁に触れたことがない人には、「全く伝わらない」「意味が分からない」ポスターかもしれないが、住民や出身者からは、「笑った! 」「懐かしい! 」「あるある! 」「久々に帰ってみようかな! 」とじわりと話題になっているようだ。

厳選した10方言を一気に紹介

例えば、冒頭の「ぐらしか」はかわいそうという意味。親から見ればもう目に入れても痛くないんだろうが、どうも子供の顔を見ると……な一枚である。そして、「ぎをいう」は口答えをする、文句を言うという意味。やんちゃそうな子供の写真にとても味がある。

「ぎをいう」=口答えをする、文句を言う

「わいがおいにわいっちゅうでおいもわいにわいっちゅうとよ。わいがおいにわいっちゅわんければおいもわいにわいっちゅわんとよ」は、南九州の人であれば、ほとんどの人が口や耳にしたことがある早口言葉。メイクで男性に扮した女性の写真が強烈で、Facebook上で公開したところ、現在一番多くの反響を得ているそうだ(3月16日現在、271いいね! 17コメント13シェア)。ちなみに意味は、「あなたが私にお前と言うから。私もあなたにお前と言うのだ」だそうだ。

これが言えれば立派な南九州の人!

「ぴ」=とげ。響きはかわいいが、刺さるとその威力は強烈である。

「ぴ」=とげ

「ぬりがよ」=ぬるい。ジュースがぬるいと怒る子供が印象的。

「ぬりがよ」=ぬるい

「びんた」=頭。二日酔いで頭が痛いは、「びんたが痛ぇがよ」と言うそうだ。

「びんた」=頭

「だいやめ」=晩酌。南九州の人にとっては大好きな言葉だろう。

「だいやめ」=晩酌

「はめっくい」=精が出る、一生懸命な様子。すごくはめっくいな様子に、自然と顔がにやけてしまう。

「はめっくい」=精が出る、一生懸命な様子

「すんくじら」=すみっこ。子供の顔を見ると手を差し伸べたくなる一枚である。

「すんくじら」=すみっこ

「まだよくろちょらんが」=まだ酔ってないよ。焼酎が大好きな焼酎飲みの決まり文句とのこと。

「まだよくろちょらんが」=まだ酔ってないよ

このプロジェクトを担当している同市企画政策課の柚木脇大輔主査は、「20代前半のころまでは、『なまっている』と言われるのが非常に恥ずかしく、なるべく西諸弁(方言)を使わないようにしていました。しかし今では、『私たちの"まち"にしかないものは何か』と問われたら、胸を張って西諸弁だと答えます。

住民とともに進めるこのプロジェクトを通して、方言は地域の貴重な資源であり、文化を形成する中心にある唯一無二のものだと、再確認しました。言葉の力で地域おこしの機運が醸成されていけばいいと思います」とコメントしている。

西諸弁ポスター展は3月27日~4月12日10時~17時、のじりこぴあメロンドームにて開催。会場では厳選されたポスター24点を小林市産の木材を利用したパネルに掲示している。