NECは10日、工業製品・部品の表面に自然発生する「物体指紋」をもとに、製品の個体識別を実現する物体指紋認証技術を開発した。実用化すれば、従来識別用タグや特殊加工を付与できなかった製品でも個体や製造元の識別を可能とし、より多岐にわたる製品のIT管理・効率化が可能となる。

ミシンの真贋判定の例

ボルトの部品管理の例

同社が開発した物体指紋認証技術は、金属やプラスチック製品・部品の表面に、製造時に自然発生する微細な紋様(物体指紋)を画像認識し、個体や製造元を識別する技術。

「物体指紋」は製造時に自然発生し、たとえ同じ製品であっても、人間の指紋のように個体や製造元ごとに異なる。しかし人間の目では判別が難しく、タグを用いずに製品を調べて真贋判定する場合は、特殊な分析装置や知識を持つ専門家が必要だった。

今回開発した物体指紋認証技術では、スマートフォンやタブレット端末のカメラに専用アタッチメントを取り付けて撮影すると、物体指紋を高精度に認証できる「特徴抽出技術」を新たに開発。クラウドを介して事前に登録した紋様の画像データベースと照合することで、製品の個体を高精度に識別できるとする。これにより、識別用タグの取り付けや特殊加工などの手段を用いずに、低コストかつセキュアに製品を個体識別できることがメリットとなる。

適用用途は、製品の真贋判定による模造品対策やブランド品保護、販売店・製造ルートの特定による製品の信頼性向上やプロモーション、工場での部品管理・保守作業管理など。

同社は、物体指紋認証技術を「ビッグデータの活用領域を大きく広げるもの」と位置づけ、今後もICTを活用した社会インフラの実現に貢献していくとする。