インテルは6日、東京・秋葉原の「e-sports SQUARE」にて、同社の公式ファンクラブ「Intel Club Extreme」のオフサイトイベント「Intel Club Extreme オーバークロック・イベント」を開催した。イベントではオーバークロックをテーマに動作クロックを引き上げた際のゲーム体験の変化や、液体窒素を使った極冷のデモなどが行われた。

はじめのコーナーではグラビアアイドルで、作家・女優としても活躍する今野杏南さんが自作PCの組み立てに挑戦。電源ユニットやマザーボード、ストレージの取り付けに使うネジの違いに戸惑いながらも作業を進めていた。残念ながらケースにパーツを組み込んで、ここから配線というところで時間切れとなってしまったが、今野さんは「今日やったところまでなら今度は自分1人でもできそう」とPCの組み立てを楽しんでいたようだった。

今野杏南さん

ネジの違いに戸惑う場面が何回かあった

続いては、対戦格闘ゲームを中心としたゲームイベント「GODSGARDEN」の発起人で、ニコニコ生放送などでも活躍する"総師範"KSKさんと"魔王"との愛称でも知られるゲーマー・声優の青木志貴さん、有名ゲーマーのかずのこさんをゲストに、定格動作のCPUとオーバークロックしたCPUでゲームの快適さを比較するデモが行われた。

写真左から総師範KSKさん、かずのこさん、青木志貴さん

まずは、"Pentium20周年記念モデル"こと「Intel Pentium G3258」を定格の3.2GHzで動作させて、FPS「Wolfenstein: The New Order」をプレイ。「Wolfenstein: The New Order」は、CPUの要求環境にIntel Core i7クラスのCPUとしているので、Intel Pentium G3258では負荷的に厳しいものがある。

事前の検証でもOC時にはフレームレートが向上したという

やはり、実際のプレイでもフレームレートがおおよそ20台半ばで、画面表示がカクカクとコマ落ちしてしまい、かなりストレスを感じる状況だった。ゲームをプレイした青木さんも「エイムがすごくしづらい」とコメント。

続いては動作クロックを4.4GHzにオーバークロックした状態でプレイとなった。体感では劇的に改善とまではいかなかったが、フレームレート的にはおおよそ30台後半から40台と向上していた。

定格でのプレイ後に4.4GHzにオーバークロックしてプレイ

イベントの最後には世界的なオーバークロッカーであるduck氏をゲストに、液体窒素(LN2)を使ったオーバークロックのデモンストレーションを行った。

duck氏の登場がせまると会場にもかなりの人が押し寄せた

duck氏

duck氏は2台のシステムを用意。片方はCPUとメモリ、もう一方はCPUとGPUをオーバークロックするという"フルコース"ともいえる構成だ。使用するCPUは"Devil's Canyon"ことIntel Core i7-4790K、GPUはGeForce GTX 780 Tiだ。

CPUとメモリのオーバークロック用システム

CPUとGPUのオーバークロック用システム。どちらのシステムにも巻いてあるタオルは結露による水分がマザーボードに落ちないようにするためのもの

OC向けのグラフィックスカード。コンデンサの数がかなり多いことが分かる

ただ、本来はどれか1種類のオーバークロックをするだけでも、しっかりと時間を掛けてシステムの冷却や、冷えすぎてCPUの動作が止まってしまう「コールドバグ」が発生する温度を探っていくのが通例なのだが、今回のイベントで用意されていたのはわずか1時間程度とわずか。

温度を見ながら液体窒素を注いでいくduck氏。ちなみにCPUのオーバークロックでは1時間当たりだいたい10リットル、GPUでは20リットルの液体窒素を使うという

BIOSから設定を詰めていく

テーブルの上にあるのはガスバーナー。コールドバグで止まったCPUを温めて起動する温度まで戻したり、液体窒素による冷却でCPU表面についた氷を溶かしたりといった用途に使われる

それでもduck氏は、CPUでは定格4.0GHzのIntel Core i7-4790Kで、6.63GHzのオーバークロックを達成した。続いてメモリのオーバークロックに取りかかったところで、コールドバグによりシステムが止まってしまった。復旧に時間がかかるようで、GPUのオーバークロックに切り替えた。

6.6GHzの状態でのCPU-Z。電圧が約1.85Vとかなり盛っているがduck氏によると、極冷時にはこれくらい電圧を上げないとだめとのこと。この後6.63GHzまでクロックが上がったところでシステムがフリーズしてしまった

GPUのオーバークロックでは、GPUの動作クロックとメモリクロックを徐々に上げていく。作業の途中で、イベントのゲストが再登場し、間近で極冷オーバークロックの様子を見学。ポッドの中に液体窒素が注がれ白煙が上がる度に驚いていた。

オーバークロックの最中にduck氏が液体窒素を口に含むというパフォーマンスも。これには総師範KSKさんや青木さんもびっくり

duck氏に促されておそるおそる液体窒素を注ぐゲストのみなさん。ちなみに液体窒素を組んでいる容器はカップ麺の「ブタメン」のもの。液体窒素に耐える素材ということできちんとした理由があるとのこと

最終的にGPUでは、動作クロックは定格875MHzのところ1.8GHzまで、メモリは2,000MHzまでオーバークロックできた。この状態で実行した3DMark「Fire Strike」のExtremeプロファイルのOverallは「7525」だった。

こちらのシステムではCPUも全コア5.8GHzにオーバークロック

GPUは動作クロック約1.8GHz、メモリクロック2,000MHzまでオーバークロックした

3DMarkのスコアは7525

デモの終了後、duck氏は「オーバークロックには自分がやっているような極冷だけではなくて、もっとカジュアルなものもある。昔と違って、最近のCPUやマザーボードは非常に壊れにくくなっているので、気軽に試してほしい」とコメントし、イベントを締めくくった。

さて、会場にはBTOメーカー各社の最新PCも展示されていた。"Haswell-E"の開発コード名で知られるデスクトップ向けハイエンドPCが発表されたばかりとあって、各社そろってハイエンドモデルを用意していた。

マウスコンピューターのゲーミングブランドである「G-Tune」のNEXTGEAR i850PA1-SP。8コアのIntel Core i7-5960Xに64GBのDDR4メモリを搭載する

サイコムのG-Master Hydro-X99。こちらもIntel Core i7-5960Xに64GBのDDR4メモリを搭載し、グラフィックスに独自仕様の水冷GeForce GTX 780 Tiも備える

サードウェーブデジノスのGALLERIA XT-E Core i7-5960X EE。Intel Core i7-5960Xに64GBのDDR4メモリに256GB SSDを搭載する

サイコムのG-Master Hydro-X99。こちらもIntel Core i7-5960Xに64GBのDDR4メモリを搭載し、グラフィックスに独自仕様の水冷GeForce GTX 780 Tiも備える

ツクモのG-GEAR GX9J-D62/XE。Intel Core i7-5820K、DDR4-2133 16GBメモリを搭載する

パソコン工房のXTREME Gx9900-i7-RXR。Intel Core i7-5830K、DDR4-2133 32GBメモリを搭載する