1998年に『永遠と一日』でカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞し、黒澤明監督や大島渚監督もその才能にほれ込んだと言われるテオ・アンゲロプロス監督の遺作『エレニの帰郷』が25日に公開されることを受け、女優・吉永小百合らがコメントを寄せた。

テオ・アンゲロプロス監督の遺作『エレニの帰郷』が2014年1月25日にいよいよ公開される

『永遠と一日』(1998年)、『旅芸人の記憶』(1975年)、『シテール島への船出』(1984年)など数々の名作を世に送り出したアンゲロプロス監督。遺作となった『エレニの帰郷』は、2005年の『エレニの旅』に続く"二十世紀三部作"の2作目で、完結編の撮影中だった2012年1月24日、交通事故で急逝した。

遺作となった『エレニの帰郷』は、半世紀に及ぶ壮大な愛の叙事詩。2012年の第26回東京国際映画祭で特別招待作品として上映され、アンゲロプロス監督作品に感銘を受けた吉永小百合、奥田瑛二、佐野史郎、阪本順治監督ほか、多くの映画関係者が来場。夫人でプロデューサーのフィービー・エコノモプロス、娘でプロダクション・コーディネーターのアンナ・アンゲロプロスは、壇上の舞台あいさつで涙を流した。

同作の公開に際し、吉永小百合は「二十世紀の痛ましい歴史を乗り越えて次の世紀に進む監督の強い意志に、感動しました。大きな、大きなポエムです」、奥田瑛二は「もう一度アンゲロプロスを一からひもといてみたくなった」とコメント。佐野史郎は、「涙が忘れられない」と同映画祭での母と娘の姿を思い浮かべた。

また、映画の公開を記念して、東京・新宿バルト9と大阪・梅田ブルク7の2劇場で24日まで、同監督の傑作10本の回顧上映が実施される。