自転車ファンライドイベント「ツール・ド・東北」(11月3日)とサン・ファン・バウティスタ号の慶長遣欧使節出帆400年を祝う「サン・ファン・フェスティバル」(11月3・4日)が宮城県石巻市で開催され、スポーツジャーナリストの中西哲生氏と気仙沼出身でパラリンピアンの佐藤真海氏(サントリーホールディングス)が参加した。
この「ツール・ド・東北」と「サン・ファン・フェスティバル」は、東日本大震災で被災した東北沿岸部の復興のためサントリーと河北新報社が行う「東北サンさんプロジェクト」がサポート。同プロジェクトのアンバサダーである中西氏と佐藤氏の2人は、3日(日)に東日本大震災被災地の三陸沿岸を走る自転車イベント「ツール・ド・東北」へ出場、翌4日(月・祝)には石巻市で行われた「サン・ファン・フェスティバル」のステージイベントに登壇した。
サン・ファン・フェスティバルのステージイベント(11/4)
■「平成青少年遣欧使節団派遣プロジェクト」アンバサダー委嘱式へ登壇
中西氏と佐藤氏は、慶長遣欧使節出帆400年記念事業の一環で行われる「平成青少年遣欧使節団派遣プロジェクト」アンバサダー委嘱式(サン・ファン・フェスティバルのステージイベント)へ登壇。平成青少年遣欧使節団派遣プロジェクトとは、2014年夏にスペイン、2015年夏にイタリアへ宮城県内の高校生10人ずつを派遣し、先人の足跡をたどりながら新たな友好促進を図る取り組みとなっている。
実行委員会は、宮城県と仙台市、石巻市、慶長遣欧使節船協会などで構成され、サントリーも特別協賛している。慶長遣欧使節船協会の濱田直嗣館長は、「高校生を海外へ派遣する今回のプロジェクトには大変期待しています。未知の国へ夢を持って出て行った慶長使節団から400年経った今回は、高校生達に新しい自分たちの課題、そして復興に向けた精神を強く持ってもらうために、海外に行ってもらえればと思います」と抱負が述べられ、続いて、中西氏と佐藤氏へアンバサダー委嘱にあたり、記念の盾が贈呈された。同プロジェクトのアンバサダーに委嘱された中西氏は、「海外の人との触れ合いを通じて、日本にいると当たり前だと思ってしまいがちな日本人としての誇りや日本の素晴らしさを再認識し、広く世界に伝えていって欲しい」と感想を述べ、佐藤氏は、「自分も海外に出るようになって視野が広がった。同じ宮城県出身の高校生も、様々な経験を通じて目標を高めることができると思うので、ぜひとも何かを感じ取って欲しい。東北のリーダーとなって欲しい」と語った。
サン・ファン・フェスティバルの出展ブース(11/4)
■「東北サンさんプロジェクト」「宮城県水産高等学校」ブースへ登場
ステージイベントへ登壇後、中西氏と佐藤氏は、サン・ファン・フェスティバルに出展されている「東北サンさんプロジェクト」「宮城県水産高等学校」ブースに登場。水産高校ブースでは、干物販売を手伝い、来場者へ試食などをすすめたほか、東北サンさんプロジェクトブースでは、復興応援メッセージの寄せ書きや復興を願うミサンガの配布などを行い、来場者との触れ合いを楽しんだ。
この模様を見学していた来場者からは、「佐藤真海さんに会えると思わなかったのでびっくりしました。気さくで優しい方でした。7年後の東京パラリンピックでも頑張って欲しいです」「笑顔が素敵で、とてもきれいな方でした。子供たちの手首に復興の願いを込めたミサンガをつけてくれて、子供たちも嬉しそうでした。良い記念になりました。」との声があがっていた。
「ツール・ド・東北」(11/3)に中西氏・佐藤氏が出場
中西氏と佐藤氏は、沿道から大きな歓声を浴びながら、東北の復興を願い、約1,300人の一般参加者と海沿いのコースに登場。ツール・ド・東北のアンバサダーの一員として60キロを走る「グルメフォンド」コースへ参加し、完走した。
「坂がきつかったりして大変だったが、三陸の美しい自然の景色と沿道からの応援に励まされて、一緒にゴールすることができました。スポーツを通して多くの方々に被災地の今を知ってもらえた。また、応援する方の笑顔がとても素敵で元気をもらった」と、2人は大会の模様を振り返った。
佐藤真海氏のイベント出演後のコメント
――昨日、ツール・ド・東北に参加した感想は?
いろんなことを感じた60kmでした。激しいアップダウンのあるコースでしたが、坂を登っていくとその先に素晴らしい景色が広がっていて、三陸を肌で感じられるイベントだったと思います。地元の方に出会い、たくさん応援をしてもらって温かさを感じました。復興はまだまだ途中段階なので、被災地の現状を通して、参加した人は良い面も悪い面も含めて、たくさんのことを感じたと思います。復興には長い努力が必要なので、私自身、これからも継続して足を運び、輪を広げて行きたいと思います。
――「平成青少年遣欧使節団派遣プロジェクト」アンバサダーを委嘱された感想は?
宮城県出身の先輩として、声掛けなどサポートをしていきたいです。東北の将来を担って行く高校生たちに、まずは応募してチャレンジすること、そして実際に海外に行って見た事、感じた事、その全てを皆に伝えてほしいです。
――宮城県水産高等学校の生徒と一緒に、干物の販売を手伝った感想は?
三陸は漁業が基本なので、皆に食べてもらって、漁業が盛り上がってほしいです。東北の将来を担う高校生達が、干物を作って販売している姿を見て、頼もしいなと思いました。
――「東北サンさんプロジェクト」ブースの横断幕を見た感想は?
メッセージをびっしり書いてくれていてびっくりしました。本当に嬉しいです。プロジェクトに賛同してくださる方がたくさんいらっしゃるので、継続して活動していかなきゃと改めて思いました。東北サンさんプロジェクトは、昨日のツール・ド・東北と今日のサン・ファン・フェスティバルを皮切りにスタートしたばかりなので、これからもっと輪を広げて、笑顔を届けていくのが私達の役割だと思っています。
東日本大震災復興支援活動のひとつとして「東北サンさんプロジェクト」を2013年10月に河北新報社と連携して立ち上げたサントリーグループは、震災発生直後に緊急支援として、震災発生後から2013年2月までに合計88億円の規模で、「漁業の復興支援」「未来を担う子どもたちの支援」「文化・スポーツを通じた支援」に取り組んでおり、今後も同プロジェクトのアンバサダーである中西哲生氏、佐藤真海氏をはじめとする東北にゆかりのあるアンバサダーとさまざまな活動を繰り広げていく予定となっている。