文部科学省は8日、経済協力開発機構(以下、OECD)が「国際成人力調査(PIAAC)」の国際報告書を公表したのに合わせて、国立教育政策研究所による日本版報告書を公表した。それによると、日本は読解力と数的思考力の2分野において平均得点が参加国中1位となった。

「国際成人力調査」は、OECD加盟国等24カ国・地域に居住する16~65歳の男女約15万7,000人を対象に、社会生活の中で求められる能力を測定したもので、今回が初の調査。読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力の3分野について、難易度を「レベル1未満」から「レベル5」の6段階に分けて分析した。調査期間は2011年8月~2012年2月、調査方法はパソコンを用いた対面方式、日本の有効回答数は5,173人。

読解力は、社会に参加して自らの目標を達成し、知識と可能性を発展させるために、書かれた文章を理解してこれに取り組む能力。日本の平均得点は296点で、OECDの平均得点273点を23点上回って1位となった。2位はフィンランドで288点、3位はオランダで284点。日本は、上位5%の人と下位5%の人の得点差が129点で、OECD平均152点を下回り、参加国中最も小さかったという。

数的思考力は、生活の中で数学的な情報や概念にアクセスして利用・解釈し、伝達する能力。日本の平均得点は288点で、OECD平均269点を19点上回り1位となった。2位はフィンランドで282点、3位はベルギーで280点。日本は、レベル3・4の割合が参加国中最も多かったのに対し、レベル1以下(レベル1、レベル1未満)の割合は最も少なかった。なお、レベル5の割合がトップだったのはフィンランドで、日本は6番目だった。

「国際成人力調査」分野別結果の各国比較(出典:文部科学省Webサイト)

ITを活用した問題解決能力は、情報を獲得・評価して、他者とコミュニケーションを取ったり実際的なタスクを遂行したりするために、デジタル技術、コミュニケーションツールおよびネットワークを活用する能力。日本は、コンピュータ調査ではなく紙での調査を受けた人の割合が36.8%とOECD平均の24.4%を大きく上回った。このため、これらコンピュータ調査を受けなかった人も母数に含めたレベル2・3の人の割合で見ると、日本はOECD平均34%とほぼ同率の35%で10位となった。1位はスウェーデンで44%、2位はフィンランドで42%、3位はオランダで42%(小数点以下省略)。

なお、コンピュータ調査を受けた人のみの平均点を分析すると、日本はOECD平均283点を11点上回る294点で1位となった。

また、能力と年齢の関係を調べたところ、日本は3分野すべてにおいて、殆どの年齢でOECD平均を上回り、加齢にもかかわらず高い水準を維持していることがわかった。