東芝は26日、同社のPCおよびテレビ事業の収益改善、事業体質強化を目的として、デジタルプロダクツ事業の構造改革に取り組むと発表した。同事業を所管する「デジタルプロダクツ&サービス社」の組織改正も、8月1日付で実施する。

構造改革は「利益創出に向けた集中と選択の実施」と「軽量経営体質の再構築」の2点を柱に据え、高付加価値商品のグローバル展開に加え、経営のスリム化・コスト削減を図る。これ以降も"聖域を設けずに"、生産や国内外販売体制の見直しなどを含め、改革を進めるという。

PC事業では、スマートフォンやタブレットとの競合によるPC需要の減少などが予測されるなか、2013年度下期の黒字化を目指す。

PC事業における「利益創出に向けた集中と選択の実施」の具体策としては、新興国市場やBtoB事業の拡大を目指すため、主に人員資源のシフトを図り、売上比率は新興国市場で前年度比1割増の約4割、BtoB事業で2割増の約4割を目指す。また、企業向けPCの投入や、省電力用の管理ツールなど、ハードとサービスをあわせた提案で大口顧客の獲得を図るとした。BtoC事業では、手書き機能搭載の着脱式Ultrabookなどの戦略商品を投入するほか、直販サイト「東芝ダイレクト」の活用を進め、販売チャネルの拡大を図る。

「軽量経営体質の再構築」では、部品の生産・調達から流通までのフローを改善し、在庫やコストの削減に取り組む。また、グローバルの製品設計の共通化を進め、2013年度中にプラットフォーム数を前年度の20から15に削減し、開発の効率化を図るとした。

注力分野への人材シフト

また、上記の「利益創出に向けた集中と選択の実施」と「軽量経営体質の再構築」を支えるため、テレビ事業、PC事業ともに人材を注力分野へシフトする。業務の効率改善や絞り込みにより、国内でテレビ・PC事業に関わる従業員総数の約20%に相当する約400名の従業員を、社会インフラ事業などへ配置転換する。

なお、東芝は2013年5月に2012年度の通期連結決算を発表している。これによると、デジタルプロダクツ部門の売上は前年度比86%の約1兆4,326億円。対して社会インフラ事業では約2兆5641億円で前年度比106%だった。

組織再編

あわせて、組織の再編も実施。同社は2011年4月より、テレビ事業とPC事業を統合し、デジタル製品を製品別に扱う体制から、新興国市場の開拓を目的に、地域別に製品を扱う地域別事業部体制を導入していた。

この体制が、8月1日付けで、テレビなどの映像事業を所管する「ビジュアルソリューション事業部」、BtoC向けPCやタブレットなどを所管する「パーソナルソリューション事業部」、BtoB事業を所管する「ビジネスソリューション事業部」の3事業部制に再編される。

同社では、この再編により、組織のスリム化や意思決定を迅速化し、一層のスピード経営の実現を図る。また、BtoB事業を専門組織化することで、同事業の拡大、戦略的な事業展開を行うとする。